J1開幕後、安定した戦いを展開するサンフレッチェ広島。塩谷司、荒木隼人、佐々木翔が並ぶ3バックはリーグ屈指の守備力を誇る。中でも広島在籍10シーズン目の35歳、3度のJ1制覇に貢献してきた塩谷の存在感は際立っている。今季第2節のFC東京戦ではJ1通算200試合出場を達成。第3節の鳥栖戦では今季初得点を豪快なミドルを決めてホーム2連勝に大きく貢献した。
ここでは長年広島の守備陣を支え続ける塩谷が、過去に語った海外経験を改めて振り返る。今回は2021年に4年ぶりにアル・アインFCから広島に復帰した際の独占インタビューをお送りする(全3回・3回目/「広島アスリートマガジン」2022年1月号掲載記事を再編集)
◆地元に子ども向けスクール発足。サッカーの楽しさを伝える取り組み
―2019年に地元・徳島に『塩谷サッカースクール』を立ち上げられました。これはどういった思いからですか?
「徳島は都会ではないので、子どもたちがサッカーをする環境がそこまで整っていないんです。なので、そういった面を改善して子どもたちがサッカーを楽しめるようにしたいと思いました。この夏にやっとグランドを一つつくることができ、一歩前進というところです。最終的には人工芝ではなく天然芝のグラウンドをつくりたいと思っていて、試合のできる小さいスタジアムもつくれたらいいなと思っています」
―現役中にそういった取り組みをする選手はなかなかいないように思います。
「ずっとやりたいと思っていたんですけど、現役中は本業に集中しないといけないので、任せられる人がいたらやりたいと思っていました。今お願いしている人とは、1、2年ぐらいかけて打ち合わせを重ね、現役中に感じたことや叶えたいこと、子どもたちにはこういう風にサッカーに取り組んでほしいということを全部伝えました。立ち上げて3年目になりますが、スクール生も増えてきて今は80人以上です。みんながサッカー選手になりたいと思っているわけではないので、サッカーが楽しいと思ってくれる子が一人でも増えたらいいなと思っています」
―2024年に新スタジアムが完成予定です。広島に戻って来られたのは、新スタジアムに対する思いもありましたか?
「新スタジアムができる時には広島にいれたらいいなとは思っていました。ずっとサッカー専用スタジアムが欲しいと言い続けてきて、やっと形になるわけですから。コロナ禍で改めて感じたのですが、サポーターの皆さんの声援はすごく力になります。サッカー専用スタジアムだと観客席が近いので、一つひとつのプレーに対するサポーターの反応や表情を見ることができ、よりプレーに力が入ると思います」
《プロフィール》
塩谷 司(しおたに つかさ)
1988年12月5日生 徳島県出身/DF
■ クラブキャリア
2011〜2012 水戸ホーリーホック
2012-2017 サンフレッチェ広島
2017-2021 アル・アインFC
2021- サンフレッチェ広島