3月29日に開幕した2024年ペナントレース。昨季2位の新井カープは九里亜蓮を筆頭に、先発・リリーフ共に投手陣の顔ぶれも充実。野手陣も熾烈な定位置争いを続けている。ここではカープOB・大野豊氏が、2年目を戦う新井カープの戦力を独自の目線で解説する。(数字は3月11日の取材時点)

今シーズン、開幕スタメンをつかみ取った田村俊介。

◆いよいよシーズン開幕。つなぐ野球で得点力向上へ

 オープン戦の野手陣は、若い選手を中心に起用していた印象がありました。内野であれば二俣翔一や林晃汰、外野では田村俊介、久保修、中村健人らを起用しています。どの選手もアピールはしているのでしょうが、もう少し、物足りない部分があるのも事実です。打線に安定感を与えるためにも、新外国人打者のシャイナー、レイノルズが早く日本の野球に慣れてもらいたいと思います。良い状態で開幕を迎えられるように準備をしてもらいたいものです。

 その中でも特に注目する選手を挙げるなら、やはり田村俊介でしょう。

 4番候補の外野手として期待されていた末包昇大が故障で出遅れてしまった分、新井監督も田村には期待をかけているのだと思います。ここからは、田村自身がその期待に応えられるかどうかが鍵になってくるでしょう。田村を始めとする若い選手たちは、今はチャンスを与えられているという状況ですが、そこを「自分の力で奪い取るんだ」という勢いで頑張ってもらいたいと思います。

 打線はここから、実戦を積んでいくなかで打順や戦術を突き詰めるのだと思いますが、現時点での印象としては、今シーズンも『ホームランを量産して得点する』というよりも、とにかくつないでチャンスを待つ、という形になるのではないかと思います。得点力を上げるためには、1番から8番までの打線のつながりと、チャンスで決め切る力がポイントになるでしょう。

 野手陣としては、いかに多く得点するか。投手陣としては、いかに失点を少なくするか。得失点も意識しながら、シーズンに向けて取り組んでいってもらいたいと思います。オープン戦での反省点や課題は伸びしろだと捉えて、シーズンを戦うにあたって、一つずつ解決していってもらいたいです。先発ローテーションの顔ぶれ、打順など、これから楽しみな点はたくさんありますから、2年目の新井カープにも、大いに期待をして応援したいと思います。