カープのリリーフ問題が、いまだ解消されていない。抑えと目されていたスコットの二軍降格に続き、リーグ3連覇の立役者でもある中﨑翔太や今村猛も登録を抹消。塹江敦哉ら好調を維持している投手は一握りで、救援陣の綻びがそのままチーム状態の悪さにつながっている。

 そんななか一筋の光明と言えるのが、昇格後に即結果を出した一岡竜司の存在だ。今季初登板となった7月15日の巨人戦では、1回を無安打2三振で乗り切り復調をアピール。巻き返しを図るチームにおいて、3連覇を支えたセットアッパーの復権はこの上ない好材料だ。ここではリリーフ陣の救世主と目される一岡の、開幕前の決意を振り返る。

今季初登板で圧巻の投球を見せた一岡投手。

─昨季はコンディション不良で一軍登録を抹消されるなど、不本意な1年だったと思います。やはりこれまでの勤続疲労が大きかったのでしょうか?
「自分の場合何らかの形で体に不安があったほうが成績がついてくるので、あまり疲労度は関係ないのかなと思います。今は体が絶好調でも投球は良くないですしね。昨季も体をかばって投げていましたけど、打ち込まれたかと言われるとそうではないと思うんです。体が元気だとその分腕を振りすぎちゃって、良い球がいかないんですよね。逆にどこかをかばって投げていたら変な力が抜けて、体全体を使って投げることができたりするんです」

─オフはどのようなことを意識して練習をしていましたか?
「キャッチボールを投球につなげることができたらなと思っていたので、昨季よりもう少しキャッチボールを上手にやるようにということを意識していました」

─キャッチボールの段階から試合を意識するということでしょうか?
「そうですね。とにかく今はキャッチボールが周りよりうまくなりたいですね。キャッチボールの通り試合で投げられるというのは、結構難しいことなんですよ。キャッチボールが良くてもマウンドでつながらない日もあるので難しいですね」

─今季のキャンプでは2段モーションへの挑戦などもありましたが、改めてその意図を教えてください。
「下半身のコンディション不良があって、もっと体をうまく使おうという中で、2段フォームの方が構えているところに対してまっすぐ入っていけるという感覚が1月ぐらいにあったんですよね。ただ短い期間で得たフォームは、短い時間で忘れてしまうので、それこそ自分の中で1年なり2年なり時間をかけて、ある程度長い目で見ている感じです。自分の引き出しの中で、その日の感覚によって最適なものをマウンドで出したいですね。個人的に『絶対これでいくぞ』という決意はあまりないんです。困ったときに、困ったまま投げるのは嫌なんです」

─今季チームを見ると佐々岡真司新監督もそうですが、横山竜士投手コーチの誕生も大きな変化です。
「名前は『りゅうじ』で一緒ですし(笑)、現役も1年被っているので、やりやすいところはあります。自分が移籍1年目で入ってきたときは、横山さんがベテランということもあって、最初はなかなか喋れなかったですけどね。現役時代にキャッチボールをさせてもらってすごくきれいなキャッチボールをされるなという印象がありました。今もすごくきれいな回転の球を投げられていますね」

─一岡投手個人の記録に目を向ければ、通算100ホールドまで残り19ホールドとなりました。この数字は意識していますか?
 「意識しています! そこはなんとか達成して引退できたら良いなと思います。専門学校時代を考えたら、想像できない数字ですし、達成できたら引退後美味しいお酒が飲めるのかなと思っています」

─感慨深いという気持ちでしょうか?
 「感慨深いとかではないですけど、まず現役を10年やるのは無理だろうと思ってプロに入ってきて、一軍も無理だろうと思っていたので、そんな男がここまできたんだったら、こだわって目標にしていけたらと思っています」