3度目の右肘手術を乗り越えて迎えた今シーズン、ファンの不安を一蹴する快投を連発し、史上90人目の『ノーヒット・ノーラン』を達成したカープ・大瀬良大地。ここでは8月に聞いた独占インタビューをお送りする。(※数字は8月7日時点)
◆今季はカットボールに頼らずに投球を組み立てる
─今季は昨季オフに3度目の右肘手術を経て臨んでいます。手術に迷いはありましたか。
「迷いなく手術を決断しましたね。手術をしなければ、今シーズンはどこまで保つことができたか分からなかったと思います。過去2回の手術よりも決断は早かったですし、受けなければこれ以上良いパフォーマンスを出せないと感じていました。リハビリでは過去2回よりも、肘の可動域を元に戻したいと思っていたのですが、屈曲の制限もすごくありましたし、まず投げられるまでにしんどさがありました。時間も費やしましたし、リハビリ中の痛みもこれまでより多少ありました。手術を経験してはいますが、可動域が広がったと思っても、次の日に戻らない日があったりと、一進一退でした」
─開幕後、右肘の状態はいかがでしたか?
「お陰様で調子が良くて、違和感は全くなく投げることができていました」
─今季、投球の組み立てを含めて変化を加えた事はありますか?
「アツさん(會澤翼)とのバッテリーに関しては、首脳陣の方々の意向ですが、アツさんとはよく話をしていますね。シーズンに入るにあたり、『カットボール頼みにならないように投球を組み立てたい』という気持ちがありました。開幕直後、甲子園での登板日(4月11日・対阪神)に、『シュート、フォークを多少打たれても使っていきたいです』とアツさんに話をさせてもらいました。アツさんもそういう気持ちがあったようで、しっかり意思疎通ができていました。その日の試合ではそういう組み立てで打ち取る事ができたので、『これで今年はいけるかも』と感じましたし、あれから良い感触で投げることができていました。今シーズンのターニングポイントと言える登板だったと思います。アツさんも『あの試合が大きかったんじゃない?』と言ってくれて、『僕もそう思います』という話をしていました」
─昨年からのスタイルに変化を加えたきっかけを聞かせてください。
「昨年までの僕は、ほぼカットボールで勝負してきた投手だったので『そろそろ限界かな……』と感じるところがありました。そこで、『長くマウンドに立ち続けるには、何かを変えないとこの先苦しい』と思ったのが、変わるきっかけです。シュート、フォークは元々投げていたのですが、今年投げている割合は数%しか変わっていないと思います。投げるカウント、場面によって、例えば『ここでカットボールが来るだろう』と右打者が思うところでシュートを投げれば、詰まって内野ゴロで打ち取れるというケースが増えています」
(後編へ続く)