◆現役アナウンサーが取材者目線で、インタビューのポイントを講義
午後からは、広島テレビ放送株式会社の小野宏樹アナウンサーによる、『メディアとアスリート』をテーマとした研修がスタート。日頃、カープ選手にインタビューする機会も多いという小野アナウンサーから、『思いを伝えるコミュニケーション』についてレクチャーを受けた。
アスリートに取材をする側が、取材前にどのような準備をしているか、というエピソードでは、「カープであれば年間143試合が開催されますが、私は全部見るようにしています」という小野アナウンサーに、参加者たちも驚いた様子。午前の研修で再発見した「自分自身や競技の魅力」をインタビュー形式で発表する実践では、現役で活躍するアナウンサーからインタビューを受ける貴重な機会に、取材対象役として指名された広島エフ・ドゥの大竹啓生選手は緊張気味。「話しているうちに質問の時間軸がわからなくなり、どこに着地すれば良いか迷ってしまった」と感想を口にすると、小野アナウンサーからは「インタビューは基本的に、現在・過去・未来の順でお話を伺うことが多いんです。それを意識されると良いかもしれませんね」とアドバイスを受けた。
「インタビュー中に印象的な言葉があれば、そこを深掘りするようにしています。キャッチーな言葉をきっかけに、より深い取材ができることもあるんです」と語る小野アナウンサーは、カープ・大瀬良大地投手へのインタビュー中に特に印象的だったという『自分の原点』という言葉を紹介。実際の実況シーンをその場で再現した。臨場感ある実況のなかには『自分の原点』という言葉は選手の素顔を一言で表すフレーズとして織り込まれており、参加者たちは、自身が発した言葉が自分を表す大切なキーワードになることもあると実感したようだった。
質疑応答では、来シーズンから広報に転身する広島エフ・ドゥの宮﨑健太選手から、「広報として、選手をより魅力的に紹介するには」というフロント視点での質問も飛び出す。小野アナウンサーは、「実際に試合や大会で選手を見たり、言葉を交わす機会があれば、観客もより感情移入できると思います。どれだけ調べても、映像を見てもわからないものはある。それだけに、実際に選手の活躍を見てもらう場があれば、それがファンを増やすきっかけの一つになると思います」とアドバイスを送った。講演の最後に、「メディアとしても、アスリートのみなさんと力を合わせて広島を盛り上げていきたいと思っています。これからもよろしくお願いします」と話すと、参加者からは大きな拍手が送られた。