◆日本を代表する捕手に成長してほしい

　中村奨はすでに二軍の試合に出てマスクを被る機会も得ていますが、正直インサイドワークの部分については試合に出る中で少しずつ勉強していってくれれば良いと思います。まだ相手打者の特徴なども知らないわけですから、今はとにかく投手の良い部分を引き出すように伝えています。

　もちろん試合の中で打者の動きや、状況を読みながら配球を組み立てるように伝えてはいますが、まずは自チームの投手から信頼を得ることが大切です。投手の良い部分を引き出すためには、信頼を得て、中村奨自身が普段のコミュニケーションの何気ない仕草や性格を理解するように努めなければいけません。

　投手の性格が理解できていれば、こういう場面では強気にくるとか、こういった仕草をしているときは弱気になっているときだ、とかそういうことが試合中に分かってくるものです。今は本人に対して、失敗しても良いから自分で考えながらやってみるように伝えています。そうした失敗が一つひとつ自分の引き出しになってくると思うんです。

　もちろん同じような失敗を繰り返すようでは成長はありません。失敗をしたらどうやって次につなげていくのかを考えてほしいですね。

　失敗を恐れず自分が思うようにやって、それが正解か間違いかは私たちが判断してしっかりと指導してあげれば良い訳ですし、そのためのコーチだと思っています。これだけ注目されて、体の身体能力も高いのですから、日本を代表する捕手として国際試合でもマスクを被れるような選手へと成長してほしいと願っています。