ウエスタン・リーグで好成績を残し一軍昇格を勝ち取った中村奨成だが、捕手である以上、さらなる守備力の向上が求められるのは言うまでもない。“打てる捕手”として正捕手の座をつかんだ會澤翼でさえ、一軍で存在感を示すまでに8年近くの歳月を要した。

 甲子園での活躍で打撃の印象が強い中村だが、捕手としての評価はどのようなものだったのか? ここでは中村がプロ1年目から指導に携わってきた倉義和一軍バッテリコーチが、2018年ルーキー当時に語っていた中村評を改めて振り返る。
(『広島アスリートマガジン』2018年5月号掲載)

熱血指導を行う当時二軍バッテリーコーチ時代の倉義和コーチ。中村奨成選手に徹底的に基礎を叩き込んだ。

◆高卒選手としては全体的な身体能力は高い

 中村奨成については、まずなんと言っても肩が強い点が、捕手として長所の1つです。また高卒選手としては、全体的な身体能力は高い方だと思います。

 ただしキャッチング、ブロッキングなど捕手としての技術面はまだまだですので、球を捕る、投げる、止めるといった基本的な部分からしっかりと指導しています。特にワンバウンドする球に対する反応は力を入れて学んでほしいところです。

 思っている場所と違う所に球が飛んだときにどう反応をするか、これが捕手として大事なことになってきます。今まで自分がやってきたことが体のクセとして染み付いている部分がありますから、まずはそこを直していきたいと思っています。

 彼の場合、肩が良いと言っても、上体に頼って投げるクセがあります。プロの世界では体全体を使って送球しなければいけません。これは送球スピードはもちろんのこと、球の制球力を高める狙いもあります。

 また肩に頼って投げていると、シーズン通して試合に出たときに間違いなく肩に疲労が溜まってきます。送球面では下半身をいかに使うかという点に意識を置いて指導しています。