株式会社エイジェックは昨年、東京大学スポーツ先端科学連携研究機構(UTSSI)と『スポーツサイエンスにおける包括的連携協定』を締結した。この協定により、エイジェックの『エイジェックスポーツ科学総合センター』とUTSSIがタッグを組み、野球を中心とした、次世代のスポーツ科学を牽引する研究に取り組んでいる。

筋活動を分析する実験も行われた

 この共同事業の研究テーマは、『子どもの運動能力発達』、『最新鋭テクノロジーを用いた野球競技力向上』、『スポーツ科学関連教育』の3つの柱を中心に進められている。2024年12月には、小学生から高校生までの若い投手と、プロレベルの熟練者である投手が参加し、それぞれの筋活動を分析する実験が実施された。投手の全身に16個の電極を貼りつけて行われたこの実験では、発達段階や競技の熟練度によって違いが出る、全身の筋制御メカニズムを解明することが期待されている。

 将来的にエイジェックは、『エイジェックメソッド(仮称)』という、野球における独自の育成プログラムを構築することを目指している。同社が運営する『エイジェックベースボールアカデミー』や、同社野球部などでより効果的で科学的根拠に基づいたトレーニングを提供できるようになる見込みだ。

 この共同研究について、東京大学の中澤公孝教授は、 「エイジェックには体力データや技術データを収集できる環境と設備が整っています。そこに研究機関が関わることで、脳科学や神経科学のアプローチも可能となり、スポーツ科学の研究において他社にはない強みになると考えています」と語る。

 米国の『ドライブライン・ベースボール』のように、国やレベルを問わず、多くの野球選手が栃木に集まり、パフォーマンスの分析やトレーニングに訪れる日も遠くはないだろう。