◆子どもたちから学ぶこともたくさんある
ちなみに僕は、子どもと接することがあまり得意な方ではなかったので、その部分でも大変さがありました。少しずつ慣れてくる中で、僕の中で感じることがあります。
僕自身もそうだったのですが、中学生の男の子は“照れ”がある子も多く『伝えていることがきちんと伝わっているかな?』と思うことがあります。逆に女の子はフレンドリーさがあって、コミュニケーション能力が高く、救われる部分もあります(笑)。ただ、ひとまわり以上離れた子どもたちなので、野球とは関係ない音楽の話など、なかなか話題についていくのも大変ではあります(笑)。
また、僕が子どもたちから学ぶこともたくさんあります。女子野球を指導していると本当に明るい子が多く、声もすごく出して、どんなボテボテのヒットでもみんながすごく喜んでいます。本当に野球が好きでやっていることが伝わってきますし、『やっぱり野球は楽しくやるもんだな』と子どもたちから改めて感じさせられています。
近年は、女子野球人口も徐々に増えています。女子高校野球の全国大会が2022年から始まり、高校野球の聖地である甲子園球場で決勝を行うようになりました。そこで注目を集めたことは間違いないですし、また、イチローさんが東京ドームで行っている『女子高校野球選抜対イチロー選抜』の取り組みも、女子野球を盛り上げていく上で、とても素晴らしい取り組みだと思います。甲子園の決勝戦を見に行きましたが、間違いなくレベルが上がっていると感じます。
現在広島県には、女子野球チームを持つ高校が、佐伯高、山陽高、広陵高と3つあります。僕が指導した子どもたちも、ほぼ高校で野球に携わり、プレーを行わない子も男子野球部のマネージャーになるなど、何らかの形で野球に関わっているようです。
僕にとって野球振興グループでの仕事は、野球人口が減ってきている中で、NPB12球団が取り組む問題に、子どもの頃から好きだった“野球”へ、今の僕が貢献できる場所だと思っています。また、僕がみんなに伝えていく上で大切にしている、『上手くなることよりも、まず野球を好きになってもらう』という信念を忘れずに、指導していきたいと思います。
またカープ球団には選手として7年間お世話になり、いろんな経験をさせていただき本当に感謝しています。みんな仲が良くて、温かい球団です。これからも、もっと球団に貢献できるよう励んで行きたいです。
広島県では三次市と廿日市市が“女子野球タウン”に認定されています。これからさらに女子野球、野球人口を増やす手助けができるよう、僕の立場で頑張っていきたいと思います。ぜひみなさんも子どもたちの姿を応援していただければと思います。
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桒原 樹(くわはら・たつき)
1996年7月4日生、静岡県出身
常葉菊川高ーカープ(2015-2021年)
走攻守三拍子そろった内野手として2014年ドラフト5位でカープに入団。2021年限りで現役引退し、2022年からカープ球団職員に転身。野球振興グループに所属し、主に野球振興や、女子野球、野球塾“浅井打撃塾”のコーチをなど務めている。