カープといえば『機動力野球』と言われるようになって久しい。赤いユニホームが塁上を駆け回る姿を楽しみにしているファンも多いだろう。機動力とは決して『盗塁』だけを指すわけではないが、わかりやすい指標の一つであることも事実。ここではカープの過去の『盗塁数』を振り返ってみる。

現役時代、3度の盗塁王に輝いた髙橋慶彦氏(2018年撮影)

 カープがAクラス入りした過去の成績を見ると、25回のAクラス入りのうち、チーム盗塁数がリーグ1位のシーズンは13回。1978年、1981年、1990年を除くシーズンは、全て2位以上の盗塁数を記録している。古葉竹識監督時代は、髙橋慶彦が3回(1979年、1980年、1985年)盗塁王に輝くなど、カープ機動力野球の象徴として活躍した。

 また、連続Bクラスが始まった1998年以降、カープから盗塁王を出したシーズンは、2010年の梵英心(現・阪神二軍打撃コーチ)の1度のみ。カープのAクラス入りとチーム盗塁数には、やはり相関関係があると言っても良いのかもしれない。

 機動力野球は盗塁だけを意味するものではなく、盗塁数が勝敗に直結するものでもない。あくまでカープ攻撃の『ひとつの武器』として使うに過ぎない。ただ、その武器の威力が増せば増すほど、相手にとって脅威になることは間違いない。

 現在のカープには羽月隆太郎を筆頭に俊足を武器とする選手は多い。今後、足を使った攻撃にも注目したいところだ。