メジャー4年目、鈴木誠也が好調だ。現在ナリーグ中地区で優勝争いを繰り広げるカブスの中心戦力として、ここまで26本塁打、80打点をあげている。

 ここでは、『神ってる』が流行語大賞に選ばれた2016年、交流戦直後に収録した鈴木の独占インタビューを再編集してお届けする。3試合連続決勝本塁打を放ち一躍時のひととなった鈴木は、あの3連戦をどう振り返っていたのだろうのか。

プロ4年目、当時21歳の鈴木誠也

◆『神った』直後の鈴木に迫る

─まずお聞きしたいのですが、交流戦・オリックス3連戦の2試合連続サヨナラ本塁打、3試合連続決勝本塁打と、ものすごい活躍でした。今改めてあの3日間を振り返ってどんな気持ちですか?

「自分でもどうして打てたのか、球場で何が起きたのかよく分からない感じでした。自分が何でこんなに変わったのかも分からないですね(苦笑)」

─2試合連続サヨナラ本塁打の場面、どんな気持ちで打席に入っていたのですか?

「1日目は前の打席のときにサヨナラ勝ちのチャンスで抑えられていたので、『ここで何とか打ちたい』という気持ちだけで打席に入っていました。2日目はそんなことも思わず、『ボテボテの当たりでゲッツーでもいいから1点取りたい』という気持ちで打席に入っていました。マジで奇跡だと思います(笑)」

─プロ初のサヨナラ本塁打の翌日、試合では鈴木選手の全打席でファンのみなさんの歓声が違ったように感じました。

「確かにあの日はすごいなと思いましたが、特にプレッシャーを感じることはありませんでした。あの試合は僕の後が新井(貴浩)さんだったので、『新井さんに任せよう』という意識でした。とにかく今は後ろにつないでいこうという意識しかないので、それが良い方向にいっていると思います。新井さんが後ろにいてくれるだけでも安心感がありますからね」

─ヒーローインタビューでは『最高でーす!』を連呼するなど、スタンドを沸かしました。

「1日目に『最高です!』を何度か言って、終わった後にチームのみんなに『最高です! だけでいけ』と言われたんです。それで2日目のヒーローインタビューはそれを貫き通しちゃいました(笑)。でも、3日目のヒーローインタビューはさすがに、これではヒーローインタビューにならないと思ったので……、ちょっとだけ話をさせてもらいました(苦笑)」

─3日連続でヒーローインタビューを受けるというのは、どんな気持ちでしたか?

「本音を言うと興奮しているので、あまり喋りたくはないんですよね(苦笑)。自分でもどうして打てたかが分からなくて、どうやって気持ちを伝えれば良いか分からなかったですし、『最高!』という言葉しかないんですよね(笑)。でもこれは本心です」

─この活躍ぶりに、ご家族も喜んでいたのではないでしょうか?

「父親からは連絡があって『こっちは鳥肌が立ったぞ』と言われましたが、『ありがとう。でもこれからだから浮かれない』というような会話をしました。周囲は乗せてくれますが、それに乗りたくないですし、家族にも乗られると嫌なので(笑)。もちろん喜んでくれるのはすごくうれしいですけど、家族から言われると僕も浮かれそうになるので、『何も言わないで』と、家族には言っています(苦笑)。今後打てなくなることが絶対にあると思うので、まずは一日一日を必死にやっていきたい気持ちだけです」

─オリックス戦でのサヨナラ本塁打の打席では、タイミングを合わせるためにノーステップで打撃をされていました。

「あの打席では足を上げていてもタイミングが合わなかったので、ああするしかないと思いました。少し前に一度だけ中日との対戦のときにやったことがあったのですが、ノーステップで打つことは練習でもやっていませんでした。本当にその場面での判断でした。もちろん本塁打なんて想像していませんでした。あのときは『とにかく三振だけは絶対にしたくない』と思っていましたし、当てて転がせばなんとかなるという思いだけの行動でした」

─対オリックス初戦でのサヨナラ弾の日で、シーズン中に初の規定打席に到達しました。このことについて、今どんな心境ですか?

「目標にしていた部分があったのでうれしいですし、やっぱり試合に出続けないと規定打席というのはないことですからね。そういった面ではこれからどうなるか分かりませんが、今後もシーズン規定打席を目標としているので、それを達成したいと思っています」