メジャー4年目を迎えた、カブス・鈴木誠也が好調だ。今季は出場97試合目で100安打に到達し、4年連続100安打の快挙を達成。チームも現在ナリーグ中地区で首位争いを演じるなど、打線の中心として活躍している。

 ここではプロ4年目、2016年・夏に行ったインタビューを再編集してお届けする。この年、打率.335、156安打、29本塁打、95打点をあげて25年ぶりの優勝に大きく貢献した鈴木誠也。その活躍の影には、打撃への飽くなき探究心があった。

シーズン序盤はリハビリで戦線を離脱。復帰後は東出輝裕コーチの指導のもと、打撃の改革にも取り組んだ(写真は2016年撮影)

◆『何だこの打率は』。悔しい思いから始まったシーズン

─2016年シーズンは、開幕前にケガで離脱されていました。リハビリ中はどんな気持ちで過ごしていましたか?

「本当に情けないと思っていました。今は『絶対にケガをしない』という気持ちが以前よりも強くなっていますし、これまで以上に体をケアするということに関しては気を使うようになりました」

─4月5日に一軍復帰して間もなくは、なかなか結果が出ない日々が続いていましたが、不安はありましたか?

「不安は特にありませんでした。ただ毎回打席に入る度に『何だこの打率は』と思って悔しかったですし、『なんとか変われないか、一つ殻を破れないか』と思いながら、ずっとモヤモヤしていました」

─5月以降は好調な打撃をキープされています。昨季と技術的に変わった部分があるのでしょうか?

「今まで打撃練習でも、自分の打てるゾーンしか待っていないことが多くあったのですが、結局それが試合で生きていませんでした。試合では相手投手も全力で抑えにきますし、いろんなゾーンに球がくるので、ボール球を振ってしまうこともあります。その中でヒットを打たなければいけないので、今まで全く意味のない練習だったのかなと思います。今季は東出(輝裕、現・二軍内野守備走塁コーチ)さんから『練習の時から、自分の打てるゾーンから球が1個2個分離れていても、とにかく振ってアジャストしていけ』と言われています。それから高めなどを振りにいって、自分の感覚だったり、良いバットの出し方だったり、そういうことが練習で自然とできるようになってきて、試合でも良いスイングができるようになってきたんだと思います」

─4月26日に新井貴浩選手(当時)が2000安打を達成しました。達成の瞬間を見て、純粋にどんな気持ちでしたか?

「もちろん2000安打という記録はとてつもなくすごいと思います。でも僕は新井さんの試合以外でやっていることをベンチ裏で見たり、試合前の行動を見させていただいていて、そういう部分ですごいなと感じています。新井さんはすごく体が強い方ですし、だからこそ試合に出続けられるんだと思います。今は試合に出続けるということが一番すごいと感じますね。それがあっての、あのような大記録だと思います。体に痛い部分もありながら、それでもチームのために試合に出続ける姿勢というのは、僕はすごいと思っているので、そういう部分をこれからももっと学んでいきたいと思っています」

─その試合で鈴木選手は2本の本塁打を放ちました。新井選手と同じくらい目立つ活躍でした。

「あの2本も本当にまぐれで、自分でも何で打てたか分からないです(笑)。でも新井さんの大記録の日に打てて、試合にも勝ててとにかくうれしかったですね」

─では、今後に向けて個人的な数字の目標はありますか?

「やっぱり規定打席ですね。ここは絶対に意識してやっていきたいと思っています。でも、結果が出ていないとスタメンから外されてしまいます。周りにも良い選手がたくさんいますし、まだレギュラーだと思っていません。これからが本当の勝負だと思います。まだまだレギュラー争いは続くと思うので、そういった面では規定打席に到達するということには、こだわっていきたいです」