メジャー4年目の鈴木誠也が好調だ。現在ナリーグ中地区の首位に立つカブスの中心として、ここまで26本塁打、80打点をあげ、自身のメジャーキャリアハイとなる活躍を見せている。

 ここでは改めて、鈴木が世界へ羽ばたく強打者へと成長するまでの歩みを、当時の独占インタビューから振り返っていく。今回は、2016年・春季キャンプ中に行ったインタビューを紹介。この年、『神ってる』大ブレイクを果たす鈴木誠也は、どんな思いでプロ4年目の開幕を迎えようとしていたのだろうか。鈴木の言葉をもとに振り返っていく。

プロ4年目の鈴木誠也選手。この年、「神ってる」大ブレイクを果たした

◆今までにない感覚に出会った、『日本一の右打者』との自主トレ

─(2016年)1月の自主トレでは、ソフトバンクの内川聖一選手と練習をされました。

「内川さんに憧れがありましたし、日本一の右打者だと思っています。そんな方に見てもらいたいし、『どういう意識で練習をしているのか?』というものを自分の目で見たくて、5月くらいから小窪(哲也)さんだったり、琢朗さん(石井・当時一軍打撃コーチ)に相談して、実現することができました」

─打撃は、どのようなアドバイスを受けられたのですか?

「僕は球を捉えたときに、左ひじが外に逃げる癖があって、うまく力が伝わらず、スライスする打球が多くありました。そこで内川さんから『体の中で打球を捉えろ』と言われ、『静態しているくらいの気持ちで打て』とアドバイスをもらいました。個人的に分かりやすかったのが、〝昆虫の蝶は4つ羽があって、それぞれ違う動きをして飛んでいる〟というお話を聞きました。野球も一緒で、きれいに体を動かしているだけでは打てなくて、『全てが違う動きをして一つの作品になって良い打球が打てる』と教わりました。その動きを意識しながら、どうやれば僕に合う打ち方になるのかということを以前よりも考えるようになりました」

─それは今までにない感覚だったのですね。

「一つの引き出しとして今までにない感覚ですね。内川さんと同じ打ち方はできないですし、何年も積み重ねてきて内川さんの打撃があると思います。短期間で教わった技術を習得することは無理なので、新しい自分の考えとして持っておこうと思っています」

─積極的に内川選手に質問などもできたのですか?

「さすがに最初は躊躇がありました(笑)。でも内川さんがいきなり、『ちょっとこい』と言って話をしてくれてからは、気軽に質問できるようになりました。とても充実した1月の自主トレでした」

─春季キャンプでは、新任の東出輝裕一軍打撃コーチ、河田コーチからの指導がありました。どんな印象ですか?

「河田さんの指導は面白いですね。〝やるときはやる。やらないときはやらない〟というメリハリがあって、切り替えがハッキリされている方なので、僕の中ではすごくやりやすいですね。東出さんは二軍のときからいろいろ教えていただいていましたし、結構ズバっと指摘していただくので、僕的にはありがたいと感じています」

─以前お話を伺ったときに『試合で力まないために練習から力むようにしている』と仰っていましたが、現在はどんな感覚で打撃練習をされているのですか?

「そのときの感覚はありますが、それまでは『力まない』ということが分からない状態でした。自分なりに工夫をした結果、2015年シーズンはそのような意識で練習をしていました。でも今は、〝力を抜いてインパクトだけ〟ということが少しずつ理解できています。今は、いかに楽に構えて、いかに自分の腕を忘れるかということを一番意識してスイングをしています」

─腕を忘れるために、具体的な動きがあるのですか?

「力まないために腕を消すというイメージを持ちながら、構えるときにリラックスするように腕を軽く上下に動かしていますね。最近その仕草が内川さんに似ているとよく言われることがあります。でも……、決して真似をしている訳ではありません(笑)」

─打ちたい打順はありますか?

「今はどこでも良いですが、将来は3番を打ちたいですね。単純にカッコいいと感じますし、3番は『打って走れる』というイメージがあるので、そんな選手になりたいですね」

─現段階でライバルだと位置づけている選手はいますか?

「誰にも負けたくない気持ちはありますが、特にはいないですね。人よりも結果を出せば良いと思っていますし、後は監督が決めることです。なので、そんなに意識しないようにしています」