激しいポジション争いが繰り広げられているカープの外野陣。その中で、抜群の守備力とスピードでチームに貢献しているのがプロ7年目の大盛穂だ。ここまでキャリアハイの81試合に出場し、3本塁打をマークするなど打撃面でも必死のアピールを続けている。
2018年育成ドラフト1位で入団し、2019年に支配下をつかみとると2020年には一軍で73試合に出場。右手関節手術を受けるなど苦しんだ時期を経て、いまやチームに欠かせない存在に成長した。ここでは、大盛の原点を振り返るべく、プロ2年目・2021年に収録した独占インタビューを再編集してお届けする。
◆挫折を経験した大学時代。前向きな姿勢が未来を拓いた
─プロとしてやっていくうえで、心に刻んでいる『座右の銘』を教えてください。
「『向上心』という言葉ですね」
─その理由は?
「入団した年(2018年)、僕は一番下からのスタートでした。だからこそ、技術的にもメンタル的にも、毎日一歩ずつでも強くなれるようにと常に思いながら、育成1年目から練習や試合に挑んでいました。その時から意識している言葉が『向上心』です」
─これまでの野球人生で、挫折を経験したことはありますか?
「大学を卒業したら社会人野球に進むつもりだったのですが、リーグ戦で結果を残していても、社会人野球のセレクションでは、一日練習を見てもらうだけで、なかなか内定をいただけませんでした。その一日だけで判断されて落とされてしまうのが、すごく悔しかったのを今でも覚えています。卒業後も野球を続けるには、試合で結果を残しアピールするしかなかったのですが、どれだけ結果を残しても報われない日々が続き、それまでの人生で一番悔しく苦しかったですね。このまま野球を続けていけるのだろうかと不安にもなった時期でもありました」
─その葛藤はどうやって乗り越えてこられたのでしょうか?
「もちろん日々の練習に、誰よりも多く取り組みましたし、リーグ戦では、打撃にしても守備にしても、全てにおいて、今までにないものを出せるようにと必死にアピールしてきました。その結果、カープのスカウトの方の目に留めていただくことができました。見つけていただき感謝の思いでいっぱいですし、厳しい現実に腐ることなく、前向きに頑張ってきて良かったなと改めて思いますね」
─大盛選手は今年25歳を迎えます(取材時の2021年時点)。10年後、どんなプロ野球選手になっていたいと考えていますか?
「10年後となると、35歳ですね……。その年齢になっても選手として変わらずいたいなと思います。僕の中では、赤松(真人)コーチ(一軍外野守備・走塁コーチ)のように、足と守備が一番のセールスポイントだと思っているので、10年後もそういう選手でありたいですね。30歳を過ぎても軽快な守備を披露したいですし、走塁においても、まだまだ走れるぞというところを見せていける選手になっていたいです」
─育成ドラフトで入団し、1年目のオフには支配下登録を勝ち取りました。ここまでのプロ野球生活を振り返ってみて、どんな思いを抱いていますか?
「まずは先行きに不安を感じていた僕をドラフトで指名していただき、さらに支配下登録までしていただいたカープ球団には感謝の思いでいっぱいです。プロ3年目ですが、今思うと、年数を重ね一軍を経験させてもらったことで、変な余裕ができている時があるので、そうなった時は、しっかりと自分を戒めて練習に取り組んでいます。育成での入団だったので、カープ入団時は、崖っぷちからのスタートだという気持ちでいました。その頃の気持ちを忘れてはいけないと思いますし、思うような結果を残せない時は、その崖っぷちの気持ちを思い出しながら、一軍に定着できるように頑張っていきたいと思います
■大盛 穂(おおもり・みのる)
1996年8月31日生、大阪府出身
180cm・76kg/右投左打/外野手
飛龍高-静岡産業大-広島(2018年育成ドラフト1位)