1993年の創刊以来、カープ、サンフレッチェを中心に「広島のアスリートたちの今」を伝えてきた『広島アスリートマガジン』は、2025年12月をもって休刊いたします。32年間の歴史を改めて振り返るべく、バックナンバーの中から、編集部が選ぶ“今、改めて読みたい”記事をセレクト。時代を超えて響く言葉や視点をお届けします。

 第4回目の特集は、カープ歴代助っ人外国人のインタビューセレクション。

 海を渡ってカープにやってきた助っ人たちは、その活躍だけでなく、ユニークなキャラクターでも多くのカープファンに愛された。ここでは懐かしい外国人選手を中心に、彼らの “広島愛”を改めて振り返る。

 2015年にカープに入団したクリス・ジョンソンは、来日初登板で準完全試合を達成し一躍カープファンの注目の的となる。2016年には先発陣の筆頭としてリーグ優勝に大きく貢献し、海外出身選手としては史上2人目となる沢村賞にも輝いた。充実のシーズンを経て2年連続の開幕投手を務めた2017年、ジョンソンが若手投手への思いを語った独占インタビューを再編集してお届けする。(全2回/第1回)

(『広島アスリートマガジン2017年5月号』掲載記事を再編集)

カープでは6シーズンプレー。2020年限りでカープを退団し、2021年に現役を引退した

先発投手陣のリーダーとして

— 2016年に続き、2年連続開幕投手を務めました。決まったときの心境はどのような感情でしたか?

「緒方(孝市)監督から直接言われたときは、非常に光栄なことだと感じました。開幕投手に指名されたうれしさ以上に、2年連続で開幕投手に選ばれたことに責任を感じました」

— 昨シーズンは25年ぶりのリーグ優勝を果たし、今季はセ・リーグのチャンピオンチームとして迎えるシーズンとなりますが、どんな意識ですか?

「基本的には変わらないですね。昨シーズン、もしも自分にとって課題のあるシーズンであったならば、違った気持ちと試みを持って今シーズンに臨まなければならなかったかもしれません。しかし昨季はチームが優勝し、自分も安定した成績を残すことができました。そういう意味でも、昨季と同じ気持ちで今季に臨んでいきたいと考えています」

— 昨季限りで黒田博樹氏が引退され、ジョンソン投手は先発陣の中では最年長となります。若い投手たちを引っ張りたいという気持ちもあるのではないですか?

「もちろんその部分は自覚を持って野球に取り組んでいます。自分が年齢を重ねて年上になってきていますし、若い選手たちの見本になれることを意識しています。球場での振る舞いだけではなく、球場外での態度も自分自身の人となりとして見られると思うので、さまざまな面で注意しながら生活していきたいと思っています」

— 練習では若い投手と良い雰囲気でコミュニケーションを図っている印象があります。

「それも意識してやっていますね。自分も年齢を重ねてきている中で、年上の人間が若い人をいろいろと助けるというのが人として必要なことだと考えています。若い選手から質問などがあれば、いつも答えようと意識していますし、あとは練習から楽しむことです。楽しむことでいろんな選手がリラックスして野球に取り組めるのではないかと思っています」

— 日本での生活などについてお話しを伺います。ジョンソン投手は来日3年目を迎えられますが、気に入っている日本語などはありますか?

「特に一つだけを気に入って使っている日本語はありませんね。来日3年目になったので、日本語を聞きとることに関してはある程度理解出来るようになりました。なので、日本語で相手に伝えるという面ではタクシーに乗って行き先を伝えたり、お店で注文したり、身振り手振りですが徐々に上達していると思います」

— 休日は奥様とよく出かけているそうですが、広島でお気に入りのスポットはありますか?

「1箇所気に入った場所というよりも、妻を連れて広島の街を散策することを好んでいます。広島はとても優しくてナイスな人たちが多いと思います。私たちに声をかけてくれる人や、握手を求めてくれる人も多いですね。街に出ると、そういった方々に囲まれて生活しているんだと実感します。あと広島の街は非常に綺麗ですよね。また街がコンパクトなのでいろいろなところに歩いて行けるというのも気に入っている部分です。欲を言えば、広島にティージーアイ フライデーズやアウトバックなど、アメリカのレストランがあったら、僕らにとってさらに最高の環境になりますね(笑)」

(後編へ続く)