9月にはいよいよAFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)も開幕し、リーグ戦、天皇杯、ルヴァン杯といずれも負けられない戦いの続くサンフレッチェ。終盤戦に向けたキーマンは一体誰なのか。ここではクラブOB・吉田安孝氏が注目選手をピックアップして紹介する。(全2回/第2回)
◆勝ち点7差に7チームが並ぶ、例年以上にタフなシーズン
今シーズンもサンフレッチェは、複数のタイトルが狙えるポジションにあります。
リーグ戦はもちろん、ルヴァン杯、天皇杯も順調に勝ち上がり、9月からはACLEも始まります。昨シーズンは最終盤まで優勝争いをしたものの、あと一歩というところでリーグタイトルには手が届きませんでした。そう考えると、8月、9月でぐっと勝点を積んでいけるかどうかが重要になってきます。
年々夏の暑さも厳しくなっていますから、選手たちにとっては疲れが出る時期かもしれません。これは結果論にはなってしまいますが、昨シーズンは選手を固定した結果、疲れが蓄積してパフォーマンスに影響が出てしまった面もあったのでしょう。
ただ今シーズンは、ジャーメイン良や前田直輝、木下康介ら前線の選手を補強し、夏のウインドーではDFのキムジュソンを獲得しました。彼は韓国代表でもあり、実力もトップレベルです。そこに、マルコスや中島洋太朗らケガ人が復帰してきたことも大きいですね。選手それぞれのコンディションを考慮しながら、フレッシュな選手を投入していく。そして、どの選手が出場しても『サンフレらしい』サッカーができるようになれば、タイトル獲得もより現実味を帯びてくるはずです。
今年はいつも以上に、上位に僅差で複数チームが並ぶ厳しいシーズンになっています。1位から7位までが勝点差7のなかにひしめいており(8月25日時点)、1試合の勝敗が順位を大きく左右すると考えられます。
目の前の1試合1試合を確実に勝つためは、やはりキーマンとなるのはジャーメインでしょう。東アジアE-1サッカー選手権2025決勝大会では、初戦の香港戦で4ゴールと爆発し、3試合で合計5得点を決めて優勝の立役者となりました。広島ではここまで、シュートがゴールポストに弾かれる、キーパーのファインセーブにあう、オフサイドを取られる……と、「あと少し」というところでゴールを逃す場面が多く見られました。
ただ、決して手を抜いていたり、コンディションが悪いというわけではないことは、ここまでの献身的なプレーを見ていればわかります。前半戦でジャーメインがやってきたことをそのまま続けてくれれば、必ず結果もついてくるはず。チャンスはたくさんつくり出せているのですから、E-1での代表経験をきっかけに、ここからゴールを量産してもらいたいですね。
今シーズンの後半戦は、どのチームにとっても厳しい戦いになると思います。一方で、サッカーファンとしては面白い試合が続くことが予想されますから、楽しみな部分もあります。
サンフレッチェの選手たちにとっても大変な試合の連続ですが、昨年の悔しさを晴らすような戦いに期待したいと思います。