1993年の創刊以来、カープ、サンフレッチェを中心に「広島のアスリートたちの今」を伝えてきた『広島アスリートマガジン』は、2025年12月をもって休刊いたします。32年間の歴史を改めて振り返るべく、バックナンバーの中から、編集部が選ぶ“今、改めて読みたい”記事をセレクト。時代を超えて響く言葉や視点をお届けします。 

 第1回目の特集は、黒田博樹のインタビューセレクション。

 広島とニューヨーク、ふたつの街に愛された男、黒田博樹。揺るぎない信念と覚悟を胸に、日米で活躍したその足跡は、今なお多くのアスリート、ファンの心に残り続けている。過去、広島アスリートマガジンに掲載された独占インタビューを再構成し、黒田博樹さんの言葉に込められた思い、生き様を改めて紐解いていく。

 指揮官がマーティー・ブラウンとなった2006年、黒田の調整方法は変わっていく。先発投手として新たなスタイルへのチャレンジし、さらなる高みを目指したこの年、広島アスリートマガジン6月号で黒田が語った言葉をお届けする。

当時31歳。チームの柱として奮闘してきた黒田博樹

新しいことをいかにクリアできるか。

— まずはどうしてもこの話からになってしまうのですが、中4日もしくは中5日のローテーションについて、実際に体の方に何か影響は出ているのでしょうか。

黒田 今のところ思ったよりはこなせていると思います。想像していたよりいい形で来ていますね。実際、開幕するまでは、果たして中4日で自分のピッチングができるのかという不安もありましたし、今までは1試合を投げられるところまで行くというタイプだったんですけど、それが変わることによって自分自身のモチベーションがどうなるかという不安もありました。

— 確かに昨シーズンまでは150球以上投げてでも最後まで、というのが黒田投手らしさでした。「人がしんどいと思うことに挑むのが自分のやりがいに繋がっている」というのが黒田投手ですからね。そういう意味では肉体的な部分よりもむしろ精神面で難しい部分もあったということでしょうか。

黒田 モチベーションのことを言うと、どこかで割り切らなければいけない部分はあると思います。新しい監督が外国人だということでスタートした訳ですから、今までにないスタイルを目指してチームとしても挑戦していかないといけない。だから僕自身もそういう気持ちでやらないとモチベーションも上がってこないと思います。不安の方が大きいのは確かですが、新しいことをやる時にはいつもそうなのでそれをどれだけクリアしていくか、という気持ちの方が強いですね。

— それでブラウン監督から早々に打診された中4日シーズンフル稼働の提案を受け入れたのですね。

黒田 やらないと前に進めませんからね。マーティー(ブラウン監督)の考えがいろいろある中で「力のあるピッチャーをどんどん投げさせていく」というのが大前提になっています。それを僕が拒否してしまうとスタートからつまずいてしまいます。それはやってはいけないこと。監督が考えた作戦ならチャレンジしてみよう、とね。

— 中4日はメジャーでは珍しいことではありません。黒田投手は以前、米国で様々な調整方法などを見聞きしてきましたよね。中4日で投げるための秘訣みたいなものはあるのでしょうか。

黒田 投げる前の日はノースローで極力、リラックスするよう心掛けています。ここまでは市民球場でまだ1試合しか投げていません。あとは遠征だったので宿舎のお風呂につかって本でも読んだり、そういうルーティーン(あることを成し遂げるために予め行うべき決め事で『マーティー語録』のひとつ)を意識しています。あと基本的には4日間全部を使って頭のリラックスをしよう、と。体はある程度、段階を踏んで上げていきます。ケガが一番怖いし、離脱するとチームに迷惑がかかるだけでなくマーティーの考えている『基本の3本柱』が崩れることになりますから、体調管理には十分、気をつけるようにしています。