9月2日の中日戦で先発・野村祐輔の後を受け、6回1死満塁の場面でマウンドに上がったケムナ誠。4点あったリードは自身の押し出し四球、タイムリーにより一気に縮められたが、なんとかリードを保ったまま回を終わらせ、プロ初ホールドを記録した。

 長身から豪快に投げ込む直球を武器に、“勝利の方程式”入りも見えてきた右腕はどのようにして飛躍のきっかけをつかんだのか? 若手投手が台頭するカープ一軍ブルペン陣において、一際輝く存在感を見せるケムナに今の心境を聞いた。

プロ初ホールドを記録するなど、徐々に首脳陣からの信頼を高めているケムナ誠投手。

◆チームに流れを取り戻す投球を心がける

─ 今シーズンは序盤に一軍に昇格し、中継ぎとして登板を重ねています。ここまでご自身の投球について課題はどのような部分にあると思いますか?

「ファームでは四球を意識的に出さないように取り組んできたんですけど、一軍に上がってからはどうしても力感が出過ぎてしまっています。失点してしまっている場面では、四球が絡んでいることが多いですよね。1死取ってから四球とか、2死取ってから四球という場面があったので、今はそこが課題だと感じています」

─ オフは体重増加に取り組まれたようですが、その成果はどのように生かされているのでしょうか?

「ウエートを増やすことはできたんですが、キャンプに入って体が重く感じたというか、自分の体をちゃんと使い切れていない印象があったんです。なので、コロナの影響でシーズンが遅れてしまった分、逆にその時期を利用して体重を元に戻そうと取り組んで、95キロくらいまで絞りました。そういうことを経て、自分のベスト体重を改めて知ることができたのは良かったかなと思います」

─ 今季はシチュエーションを問わず登板していますが、ビハインドの場面で投げる際に意識していること、心がけていることがあれば教えてください。

「自分たちが追う場面では、相手に流れがかたむていることが多いのですが、なるべくこちらに試合の流れを引き戻せるように、全力で投げて抑えて、味方打線にリズム良くつなげられるようにということを意識しています」

─昨シーズンの自分自身と比較して最も成長したと自信を持って言える部分はどんなことですか?

「昨シーズンは1試合しか一軍で投げることができませんでした。また、内容としても結局ストレートが中心になってしまって、変化球の割合が少なかったように思います。ですが今シーズンは、ストレートを軸にスライダーやチェンジアップでカウントを整えることができるようになっています。変化球の割合を増やすことができて、相手に的を絞らせないことが少しはできていると思います」

─ 今後の目標を教えてください。

「今のところはビハインドや複数イニングを任されることが多いのですが、いずれは勝ちパターンとか、後半の大事な場面を任せられるような投手になりたいと思っています」