1993年の創刊以来、カープ、サンフレッチェを中心に「広島のアスリートたちの今」を伝えてきた『広島アスリートマガジン』は、2025年12月をもって休刊いたします。32年間の歴史を改めて振り返るべく、バックナンバーの中から、編集部が選ぶ“今、改めて読みたい”記事をセレクト。時代を超えて響く言葉や視点をお届けします。
第4回目の特集は、カープ歴代助っ人外国人のインタビューセレクション。
2025年11月、3年ぶりに開催される『CARP LEGEND GAME 2025』。往年の名選手たちが参加しファンを大いに楽しませるこの一戦に、元カープのゲイル・ホプキンス氏が出場すると発表された。
現役引退後は整形外科医に転身するなど、その経歴でも話題を集めたホプキンス氏は、カープが初優勝を果たした1975年、勝負強い打撃とパワーでチームをけん引。山本浩二、衣笠祥雄らと強力クリーンアップを形成し、初優勝に大きく貢献した。ここでは日本を愛する伝説の助っ人の、懐かしのインタビューを再編集して紹介する。(『広島アスリートマガジン』2013年6月号掲載)
◆ファーストクラスの選手が必要
― (取材は2013年)10年ぶりに広島に来られていかがですか?
「素晴らしいね。10年経つと、いろいろな変化が見られますよね。旧広島市民球場もなくなっていますが、新しい球場(マツダスタジアム)を広島駅から見て、訪ねるのがとても楽しみになりました。それに、以前より男性も女性も日本人の体が大きくなりましたよね。当然、野球選手も大きく強くなっていると思います。いや、私のほうが小さくなってしまったのかな(笑)」
― 現役引退後、カープをどのように見てきましたか?
「WEBやメールでしか確認できませんが、私は心からカープを愛しています。でも、今こそ(低迷の)状況を変えるときだと思いますし、チームをより良くする必要があると思います」
― そのためには、何が必要でしょうか?
「選手の能力をさらに高める必要もあるでしょう。個々の技術のレベルアップもそうだと思います。私は現在チームに所属する選手個々の能力はわかりませんし、『補強のために選手を連れて来る必要がある』という人もいるでしょう。それは私には分かりませんが、ただ言えるのは、高い能力がなければプロ野球選手とは言えないということです。私たちの時代には、王貞治さん(元巨人)や山本浩二さん、衣笠祥雄さんといったファーストクラスのプレーヤーがいました。優勝するためには、そういう選手がチームに何人か必要です。シーズンは長いですからね」
― ひとつのチームに何人くらい必要だと思いますか?
「ファーストクラスの選手がチームに3、4人いれば良いでしょうね。しかし、それ以外の選手の存在も大事です。野球は個人の能力の問われる競技という面もありますが、『カープが優勝』とは言われても『山本浩二が優勝』とは言いません。『ホプキンスが巨人に勝った』、『外木場義郎が巨人に勝った』、『衣笠祥雄が巨人に勝った』とも言いませんよね?」
― 確かにそうですね。
「野球は面白いものです。まず、個人としてプレーしないといけません。でも、それは、チームのシステムの中で行われることなのです。4人の素晴らしい選手がチームにいたとしても、それだけで勝者になるとは言い切れません。他の選手たちが、それぞれの役割をしっかり務めないと勝てないのです。例えば、私が来日した当時の巨人には傑出した名プレーヤーがいました。ただ、その他のスターとは言えない選手も良い働きをしていました。その他にも、スカウティングやコーチングも一体となって機能しないといけません」