昨季は中継ぎとして結果を残し、高卒2年目ながら一軍の舞台で存在感を見せつけた遠藤淳志。今季は春季キャンプから先発として期待を集め、苦しみながらも開幕ローテーションの座をつかんでみせた。

今季の7月12日に初先発勝利、8月2日に初完投勝利を飾った遠藤淳志投手。

 開幕当初は一時的に防御率が9点台にまで跳ね上がるなど安定感を欠いたが、プロ初完投勝利を収めた8月2日の巨人戦以降は投球回、失点数ともに安定しつつある。エースの大瀬良大地、K・ジョンソンらがコンディション不良などで一時先発ローテーションを外れるなか、遠藤はここまで先発ローテーションを外れることなく粘りの投球を続けている。

 一軍投手陣では最年少(21歳)となるが、長身から繰り出される球は高い潜在能力を感じさせる。プロ3年目での飛躍を誓う本格派右腕が、今季前半戦の自身の投球を総括する。

◆開幕当初は先発としての責任感で、少しよそ行きの投球に

─今シーズンは開幕から先発ローテーションとして投げ続けています。ここまで自身の投球を振り返ってみて、自己評価はいかがですか?

 「先発初登板から数試合投げてみて、まだまだ先発として未熟な部分だったり頭の中で考えてしまうことが多いので、それでテンパってしまうときがあったり、そういう登板もありました。なので、マウンド上で焦ってどうしようという考えが出てしまったところが自分の中で反省しなければならない部分だと感じています。昨シーズンは中継ぎとして投げていましたが、今シーズンから先発で投げさせてもらう中で調整の難しさだったり、長いイニングを投げなければいけないという責任感が出て、少しよそ行きな投球になってしまったり、動揺してしまう場面が出てきてしまっているように思います。まだまだこれから改善点がたくさんあると思っています」

─7月12日の中日戦(ナゴヤドーム)では、先発として初勝利を手にしました。昨シーズン手にした中継ぎでのプロ初勝利とは感覚は違うものですか?

 「そうですね、同じ勝ちでも違ったうれしさがありましたね。昨シーズンに中継ぎでプロ初勝利したときも、もちろんうれしかったです。ですが、初勝利したんだという実感でいうと、先発での勝ちの方が自分で試合をつくって、チームを勝利に導くことができたという気持ちが強かったです。なので先発勝利の方が達成感が大きかったですね」

─技術的な面でお伺いしたいのですが、春季キャンプ途中に投球フォームを元に戻すという決断がありました。その後、投球フォームの感覚はいかがですか?

 「ソフトバンクの千賀(滉大)さんとの合同自主トレに参加させていただいた中で、千賀さんの投球フォームを参考にした上でキャンプに入りました。ですが、100%の力を出し切れる状態ではありませんでした。でも、教えていただいたことを取り入れながらワインドアップに戻して良い感覚をつかむことができています。個人的な感覚としては投球フォームを元に戻して新しいことも取り入れて、さらに昨シーズンのフォームよりも進化した元のフォームというか、良い形の投球フォームで今季はレベルアップできているように感じています。新しく取り組んだことに関しては、プラスになっていますし、意識だったり、自分になかったものが増えたので、結果的には良かったと思っています」