11月24日から、岡山県倉敷市で『第37回全国専門学校軟式野球選手権大会』が開幕する。その大会に東京都から創部2年目のスポーツ健康医療専門学校が出場を決めた。

 スポーツ健康医療専門学校の顧問を務めるのは、プロ野球界で30年を過ごした元巨人の大野和哉さん。市立船橋高から巨人に入団し、投手や外野手として10年プレーしたあと、マネージャーや副寮長などの業務を約20年にわたって勤め上げた。

『第37回全国専門学校軟式野球選手権大会』に出場するスポーツ健康医療専門学校軟式野球部

 そんな大野さんは、野球人口の減少が止まらない中、「どうにか野球というスポーツに恩返しがしたい」という気持ちが芽生えたという。中でも野球振興に携わりたいと思い、野球チームを持っている企業で仕事がしたいと考えるようになった。そこで、男女の硬式野球部と、栃木ゴールデンブレーブスを持つ株式会社エイジェックスポーツマネジメントへ入社。営業職を務めたのち、現在はエイジェックグループの1法人である、スポーツ健康医療専門学校の広報担当として、学生募集業務に携わっている。1カ月間におよそ40校の高校を訪れ、学校や資格の説明を行い、彼らの進路にひとつの選択肢を提案している。

 学生募集の仕事と野球振興に直接的な関わりはないかもしれない。しかし、この学校では『柔道整復師』『鍼灸師』といった国家資格や、『アスレティックトレーナー』などの民間資格を取得することが可能だ。ここで学び、資格を取得した医療人は、医療職やトレーナーとしてスポーツの世界で活躍する。野球界、スポーツ界に寄与する人材を輩出するということも、ひとつの野球界への恩返しと捉える。

 また、野球という存在は、学生たちの背中を強く押してもいる。スポーツ健康医療専門学校は、学業優先の学校だ。単位の取得が疎かになれば、部活動への参加が禁止される。つまり、出場を決めた全国大会にも出場することができなくなってしまう。もちろん、国家資格を取得することは容易でなく、単位を落とす学生も珍しくない。しかし、自分たちが勝ち取った全国大会の切符をみすみす逃したくない、という一心が野球部員たちを変え、授業後すぐに帰宅していた学生たちは、学校に残り自習を始めていた。

 その結果、野球部員全員が無事に単位を取得。部員全員で倉敷へ乗り込むことが決まった。大野さんは「学生たちにとって国家資格を取得する以外に、もう一つ何か思い出や達成感を得られるものがあれば『この学校に入学して良かった』と思ってもらえるのではないかなと考えました。全国大会では一つでも多く勝ち、学生たちの自信につなげていければ」と語る。

 初戦は同じく初出場の富士リハビリテーション大学校との対戦が決まった。現在3連覇中の強豪・北海道スポーツ専門学校とは決勝まで対戦のない組み合わせとなる。文武両道を実践するスポーツ健康医療専門学校野球部の奮闘に期待したい。

<試合情報>
第37回全国専門学校軟式野球選手権大会
1回戦 スポーツ健康医療専門学校(東京) vs 富士リハビリテーション大学校(静岡)
11月24日 13:30試合開始予定 倉敷スポーツ公園野球場