3年ぶりにルヴァン杯の頂点に輝いたサンフレッチェ広島。柏を相手に3得点を挙げる快勝で、見事タイトル奪還を果たした。国立競技場が歓喜に沸いた一戦を、クラブOB・吉田安孝氏が改めて振り返る。(全2回/第2回)
◆3年ぶり王座奪還!紫に染まった国立競技場が選手の背中を押した
11月1日、サンフレッチェは、2022シーズン以来となるルヴァン杯優勝を果たしました。絶好調の柏レイソルとどう戦うかに注目が集まっていましたが、見事に3点を奪いタイトルを奪還。サンフレッチェはサンフレッチェの、柏は柏の、お互いの良さをどれだけ表現できるかに力を注いだぶつかり合いは決勝戦にふさわしく、とても見応えがありました。
サンフレッチェの得点はいずれもセットプレーから生まれましたが、これは「得点するために、最も近道となるものは何か」を選手自らが考えた結果だったのだと思います。
決勝戦前にはセットプレーの練習に時間を割いたという話や、塩谷司が選手に声をかけミーティングを行ったという話もありました。ここ数試合、リーグ戦でもなかなか良い流れに乗れず苦しむ様子も見られましたが、そこでネガティブな思考に陥るのではなく、もう一度原点に立ち返り、チャレンジャーの気持ちで戦った結果がタイトルに結びついたのでしょう。サンフレッチェが徹底して自分たちの武器に自信を持ち、選手全員の共通理解として磨き上げた結果が、一発勝負の決勝で見事に発揮されたのだと感じました。
MVPには荒木隼人が選ばれましたが、この試合では中野就斗の献身的なプレーも目立ちました。
特に3点目、ジャーメイン良のゴールにつながったのは中野のロングスローでしたが、そこに至るまでのプレーも素晴らしかったですね。マイボールになったところで最終ラインからスプリントをかけ、相手ゴール前まで駆け上がっていく運動量、スタミナ。それでいてプレーの質も落とさない。これらは中野が今季成長した部分だと思います。
(後編へ続く)

