2014年のドラフト5位指名から早6年。カープらしい俊足内野手として期待を集めた桒原樹が、プロ6年目にしてついに一軍デビューを果たした。

 2018年まで二軍ながら3年連続で最多出場を記録するなど、大きな期待をかけられていた。最大の持ち味は脚力で、毎年コンスタントに盗塁数をマーク。塁上をにぎわせることで毎年、首脳陣に猛アピールを続けてきた。

二軍ではコンスタントに試合出場を続けていた桒原樹選手。

 しかし、一軍昇格に向けての最大のネックとなっていたのが打撃面。一昨年の9月に打率.345でファーム月間MVPを獲得したこともあるが、年間を通じて安定して率を残すことはできなかった。

 今季はウエスタン・リーグで18試合に出場し、打率.333をマーク。安部友裕と代わる形で、初の一軍昇格を勝ち取ってみせた。ここでは9月5日に初の一軍デビューを果たした桒原の、ルーキー時代のインタビューをお届けする。
(『広島アスリートマガジン』2015年8月号掲載)

◆「強く振る」ことが自分のこだわり

― プロ入りしてから約3ヵ月が経過しましたが、振り返ってみていかがですか?
「高校時代は毎日試合をすることがなかったので、体力面で大変です。練習もですが、とにかく試合が毎日あるのがキツいですね」

― 自分が予想していたことから、一番ギャップがあったことはなんですか?
「前半戦にここまで試合に出場できたことが一番意外だったことでした。コンスタントに試合に出させてもらったことで、体力や、投手のレベルの高さを知ることができました。いろいろ経験して、やっぱり総合的にまだ自分の実力がないなと感じました」

― 現状の成績についてはどのように感じていますか?
「僕よりももっと試合に出て打っている高卒選手もいますし、そういう選手にはまだ負けているので悔しいです」

― 試合に出場していくなかで、自分が上達している感覚もあると思いますが、高校時代と変わったところはありますか?
「一つひとつのプレーに集中するというところです。これまでも集中はしていたんですが、これまで以上に集中しないとプロの打球に対応できないし、打てないと思ったので、そこはしっかりやっています」

― 野球をはじめたきっかけは何だったのでしょうか?
「4歳年上の兄がやっていたのがきっかけです。本格的に始めたのは小学校2年生のときで、当時は、言われたポジションにどこでも入る、という感じでした。高校に入ってからは1、2年はファーストとセカンド、3年からショートをやっていました。ショートに再び挑戦したときはチームのなかで一番うまくなろうと決意したことを覚えています」

― 常葉菊川高への進学を決めた理由はなんですか?
「家から一番近くに甲子園にいける学校があったので、そこに進みました。自宅から5分くらいなんですよね(笑)。他の高校には行く気はありませんでした」