若きカープの4番として3度のリーグ制覇を経験した鈴木誠也。豪快なホームランはファンを熱狂させ、『神ってる』は流行語大賞にも選ばれた。2022年シーズンにメジャーへと渡った鈴木だが、そのプロ野球選手としてのスタートは、決して思い描いていたものではなかったようだ。
ここでは改めて、鈴木が世界へ羽ばたく強打者へと成長するまでの歩みを辿る。今回は、プロの世界に足を踏み入れた直後、プロ2年目の2014年に収録したインタビューを再編集してお届けする。
◆打ちたい、打ちたい、そればかりになっていた
─2013年のルーキーイヤーを振り返っていただきます。昨シーズンは、鈴木選手にとってどんな1年でしたか?
「1年目から絶対に『一軍で試合に出る』という目標を立てていました。壁に2、3回ぶつかって『もういいかな』って考えになったこともあったんですけど、それをもう一度考え直して『目標があるんだ』、『ここで諦めちゃダメだ』って思ってやってきました。その結果、最後の舞台で1本だけですけど、ヒットも出ました。1年目で一軍に上がれたことは良い経験だったんですけど、いざ一軍に上がってみたらプロの厳しさを知って、悔しい部分も感じた1年でした。来季は良いと思えることが一つでも多くなるように練習をしていけば、結果は必ずついてくるかなと思っています」
─どんな壁にぶつかったのでしょうか?
「今まで勉強もほとんどせず、ただ野球にだけ打ち込んできたので、野球だけはしっかりやらないといけないという思いでやってきました。でも、プロに入ってみて自分が考えているよりもすごい世界だったというか、高校生のときはまだ未熟で『プロに入ってもどうせ打てるんだろうな』っていう気持ちでいたんです。それが3月にシーズン入って『早く一軍に上がらなきゃ』って焦ってもいたし、本物のプロ野球選手が本気を出して、二軍といえどもすごい選手たちが多かったので、それに対して自分はなめていたというか……。それで最初の壁にぶつかって。打てないし結果も出ないし、考えてはイライラしてという悪循環だったんです」
─どのようにその壁を乗り越えていったのでしょうか?
「『どうしたら乗り切れるんだろう?』ってとにかく考えました。そしたら、練習しかないんだろうなって。あとは慣れかなと。それから、イライラを抑えるようにして、我慢してそういう気持ちを出さないようにしました。打てないことについては、そうやって自分の中で考えながらやってきました。試合に出て、全部の打席でヒットが打てないと悔しいんですけど、10回中3回打てれば良いバッターっていうのを周りから聞いたりしていたので、プロはそれくらい難しい世界なんだなって思うように考えたら、少しは楽になりました」

