野村祐輔が9月16日の中日戦で、苦しみながらも今季5勝目をマークした。毎回走者を背負うなど、決して本調子ではなかった。それでも5回までを無失点で乗り切り、6回途中2失点で後続投手にバトンを預けた。

制球力に苦しみながらも今季5勝目をマークした野村祐輔投手。

 今季は出だしから大きくつまずいた。春季キャンプ中の2月2日の坂道ダッシュで右ふくらはぎを負傷(右腓腹筋損傷)し、三軍での調整にシフトチェンジ。7日には足を使わない形でのキャッチボールを再開したが、沖縄での二次キャンプには帯同せず、2月13日からの二軍キャンプ(日南)に合流した。

 先発ローテーションの一角として期待されながら、調整に時間を要し開幕は二軍スタートに。結果的に7月まで一軍マウンドに立つことはできなかった。

 しかし、7月22日の阪神戦で今季初登板を果たすと、勝ち星はつかなかったものの6回5安打1失点と好投。そして2度目の登板となる7月29日の中日戦では、持ち味のゴロアウトを積み重ね8回無四球無失点で勝利投手に輝いた。三者連続三振で9回を締めたフランスアと共に、開幕から32試合目にしてチームに今季初となる完封勝利をもたらせた。その後もローテーションを守り続け勝ち星を5つ積み上げた。

 現在カープ先発陣は左右のエースである大瀬良大地、K.ジョンソンを欠くなど、厳しい状況に追い込まれている。そんななか、2016年に最多勝、最高勝率のタイトルを獲得し、25年ぶりのリーグ優勝の原動力となった野村の復調は欠かせない。

「年齢もチームを見渡すと上の方になってきました。つい最近まで若手だったなと思いますが、後輩も多くなってきたので、しっかりと良い見本になれるように心がけていきたいです。言動では難しいところがあるので、まずは自分がしっかりしなければいけないので、そういう姿を見てもらいたいと思っています」

 かつて野村がそう語っていたように、先発陣最年長として結果で投手陣を牽引する役割が求められるだろう。大瀬良やジョンソンを欠く状況下で先発陣をまとめるのは、経験豊富な先発陣最年長・野村をおいて他にいない。

 現在先発ローテを引っ張るルーキーの明治大出身の後輩・森下暢仁と共に、通算76勝の技巧派右腕が崩れかけた先発投手陣を立て直す原動力となる。