若手選手の活躍が目立つ今シーズンの新井カープにおいて、経験豊富なベテランの存在は重要だ。日米通算2000安打の大記録まで、残り155本に迫った秋山翔吾もそのひとり。

 数字の面だけでなく、『プロ野球選手』の在り方を示す貴重なベテラン野手として、若返りの進むカープで存在感を増す秋山。ここでは、自身の記録について語った2023年当時の独占インタビューを再編集してお届けする。

(『広島アスリートマガジン』2023年8月号掲載記事を再編集)

ファンも驚いた電撃加入から5年が経過した秋山翔吾

◆1本の積み重ねが、大きなものになっていく

ー2023年には、5月16日のDeNA戦でNPB通算1500安打を達成しました。

「2022年にマツダ スタジアムで日米通算1500安打を達成したときのほうが、『ここまで来たな』という感覚でした。個人的には日米通算2000安打という目標があるので、こうして1本1本を積み重ねていくことで、大きなものになっていくのだと感じています」

─2015年に、NPB新記録となるシーズン216安打という大記録を達成されていました。この記録を残している事実は、現在の秋山選手にとってどのようなものになっていますか?

「僕を説明する上で一番分かりやすい記録になっていますよね。記録を達成するまで何も武器を持たない状態でその前のシーズンまでプレーしていたので、僕の場合はそれまでに『上がってきそうだな』というレベルではなく、急に日本記録を出した人間なわけです。日本記録を持っているということで、侍ジャパンに呼ばれたり、オールスターに呼ばれたり、日本記録を持っているから呼ぶだけの意味があったのではないか思います」

─記録があるからこそ、プレーやメンタルの面に影響しているものはあるのでしょうか。

「それがあるからこそ、『もっと丁寧にプレーしなければいけない』、『ファンのみなさんに期待されているな』と思いながら、プレーしている面はあります。3割を打つだけと思われるのも嫌だったので、守備の面も疎かにしたくない気持ちはありました。この記録というのは、今の自分を形容してくれる言葉の1つではないかと思います」

─秋山選手はこれまでのキャリアでさまざまな記録を持たれています。記録を継続する難しさはどんな部分だと考えますか?

「1回目の記録であったり、打者個人としての目標、レギュラーになるなどは、正直出来ないことはないと感じています。たとえば一軍にデビューしたばかりの選手が、1本のヒットや本塁打で賞賛されたり、1本が大きなことに捉えられるというのは選手にとっては楽しい時間です。その後打てなくて悩んだとしていても『実績と経験が足りないな』で片づいたりするものです。記録を出していこうとか、レギュラーになっていこうというのは、次のシーズンにある程度期待値が固まった状態で上積みを求められてプレーする難しさがありますよね。僕が落とし穴だと思うのは、オフのメディア対応であり、地元に帰ったときの賞賛です。これは意外と浮つきやすいと思っています。そのオフをいかに過ごすか? が、レギュラー選手の、野球以外で必要な対応力だと思います。そこで練習が疎かになって、自分が野球がうまくなったという感覚になりがちになります。そういう部分の対応力が大事になると思います」

─さまざまな記録をお持ちの秋山選手ですが、ご自身のなかでもっとも印象的な記録は何ですか。

「西武時代に達成した、『5年連続フルイニング出場』記録です。フルイニング出場は、体力、技術……いろいろなものを整わせことで達成できたと思っているので、そういう意味でも、僕のなかでは一番胸を張れる記録ですね」

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