シーズン序盤は不安定な状態が続いていたカープの守護神・フランスアが、ここへきて本来の投球を取り戻しつつある。8月下旬に2試合連続で失点を喫する場面も見られたが、7月21日以降は大半の試合でスコアボードに0を並べ続けている。

三振が取れる投球が魅力のフランスア投手。巻き返しを図るチームの鍵を握る選手の一人だ。

 昨季の不調を引きずるように、今季も春先から状態が上がらなかった。ストッパーの最右翼候補と目されながらも被弾が目立ち、開幕前の段階でスコットに守護神の座を譲り渡していた。

 開幕後もなかなかエンジンがかからず、7月下旬までは0勝1敗1ホールドと寂しい数字が並んだ。ところが冒頭で触れた21日の阪神戦で復調気配(打者3人に対し2奪三振)を見せると、23日には今季二つ目となるホールドを記録。29日には野村祐輔の力投の後を受け、3者連続三振で今季初セーブをマークした。

 開幕当初のカープはリリーフ陣容を固定できず、ストッパーにスコット、菊池保則を当てがい守護神不在の穴を埋めようとした。ところが両投手ともに結果を残すことができず、リリーフ問題がそのままチーム成績に反映する形となった。そんな中での守護神としてのフランスアの復調は、チームの光明となった。

 昨季シーズン中、「チームから求められれば2018年の1カ月18試合というペースを上回る登板でも構いません」と語っていたように、連投、フル回転も辞さないタイプだ。高い献身性で2018年の優勝に貢献した左腕は、出遅れた分を取り戻すべくセーブを重ね続けている。

「自分としてはサファテ(ソフトバンク)のような投手になりたいです。彼のように9回を完璧に抑えるような投球はできていませんが、いつかはあんな投手になりたいです」

 かつて、自身が理想とするストッパー像について、カープやソフトバンクで守護神として活躍した右腕の名前を挙げたフランスア。通算234セーブを誇る男の背中を追いかけ、背番号97は自慢の豪速球でセーブを重ねていく。