リーグの秋春制以降に伴い、8月に開幕する2026/27明治安田Jリーグ。ここからチームは、約半年間に及んだ百年構想リーグで見えた課題をクリアにし、さらなる戦術浸透を図るためのキャンプがスタートする。ここではクラブOB・吉田安孝氏が、シーズンオフの補強について、そして、さらなる飛躍が期待される注目選手を独自の目線で解説する。(全2回/第1回)

広島復帰が発表された浅野拓磨。背番号は2013年加入当時も背負った『29』に決まった

◆10年ぶりの『ジャガー』の帰還。現有戦力の進化にも期待大!

 8月に開幕する、2026/27明治安田J1シーズン。サンフレッチェの初戦の対戦相手は、8月8日・千葉(エディオンピースウイング広島)に決まりました。チームは新シーズンに向け、今月からオーストリアでの一次キャンプ、宮崎での二次キャンプに臨みます。

 百年構想リーグが終了してから束の間のオフ期間でしたが、ファン・サポーターのみなさんにとっては補強面でうれしいニュースも飛び込んできたのではないでしょうか。2016年途中まで広島でプレーした浅野拓磨が、RCDマジョルカ(スペイン)から、完全移籍で広島復帰することが発表されました。

 2013年にサンフレッチェでプロキャリアをスタートした浅野は、2016年7月からはブンデスリーガやラ・リーガでプレーしてきました。広島から海外へ羽ばたき、また広島に戻ってきてくれた選手としては、塩谷司、川辺駿に続いて3人目です。

 海外移籍の際にクラブに移籍金を残し、世界を舞台に実績をあげ、今度はその経験をクラブに還元する。浅野をはじめとする選手たちが、そうしたケースをつくってくれたのだと思います。クラブとして、こうした形がこれからも続いていってくれることを願わずにはいられません。

 今回の浅野の復帰劇の裏には、もちろんクラブが継続して彼を見守り、コンタクトを取り続けてきたこともあったと思います。「海外に出て行ったからおしまい」ではなく、移籍先での活躍もずっと見守り続ける。選手といっても一人の人間です。そうしてコンタクトを取り続けることでクラブの熱意を感じるでしょうし、古巣への愛着も増していくでしょう。

 そしてもう一つ、エディオンピースウイング広島開業の影響も大きいのではないかと思います。いまや日本でもトップクラスのスタジアムとなったエディオンピースウイング広島という環境も、浅野の復帰を後押しした要因の一つではないでしょうか。

 オフの間にはジャーメイン良、木下康介とFWの選手の移籍が発表されました。もちろん、クラブとしてはまだまだ補強に向けて動いている可能性も十分にあり得ますが、百年構想リーグで台頭してきた現有戦力も心強い存在です。

 例えば山﨑大地は、それまで『鉄板』と言われたスリーバックに割って入りました。2026/27シーズンは、そうした若い選手が何人出てくるかも楽しみにしたいところです。特に中島洋太朗は、故障に苦しんだ期間もありましたが、フルシーズン出場することができればどれだけの結果を残せるかが楽しみな選手の一人です。ある意味では、2026/27シーズンのキーマンと言っても良い選手でしょう。

(後編へ続く)

【吉田安孝(よしだ・やすたか)】
1966年11月22日生、広島県出身
現役時代はサンフレッチェ広島のDFとしてプレー。引退後は、サッカーコメンテーターとして多方面で活躍中。