長期のリーグ戦中断期間を境に負のスパイラルに迷い込んだサンフレッチェが、ここへきて状態を取り戻しつつある。9月13日に首位をひた走る川崎(●1-5)に大敗を喫したとはいえ、その後はアウェイの地で柏とドロー、直近の大分戦は2-0の完封で第3節(●1-2)のリベンジに成功した。

シャドーで起用されるようになってから、リーグ戦でゴールを積み重ねている浅野雄也選手。

 上位チームですでに20試合を消化しているチームもあるなか、サンフレッチェは17試合を消化しての10位。ACLプレーオフ出場圏内も十分に狙える位置をキープしている。星取り争いが激化するなか、サンフレッチェOBの吉田安孝氏が今後のポイントを解説する。

◆基本の部分を徹底しないことには、安定して成績を残すことはできません

 リーグ戦も折り返し地点を過ぎました。川崎が首位を独走していますが、それ以外のチームは星を潰し合うような状況が続いています。

 開幕ダッシュを見せたサンフレッチェは、第10節の浦和戦(●1-2)から4試合、勝利から遠ざかることで順位を大きく落としてしまいました。チャンスはつくるけど決めきれない。しっかり守っていても、最後のところで守りきれない。攻守にわたって一番大事な詰めの部分を修正できず、勝ち点3を逃してしまいました。

 浦和戦も含めて続くFC東京戦(△3-3)、横浜FM戦(●1-3)、仙台戦(△1-1)を分析してみると、全てチーム走行距離で負けているんです。表面的には先ほど触れた最後の詰めという部分がクローズアップされがちですが、90分通して局面、局面で走り負けているんですよね。

 夏場の連戦で当然疲れもあるでしょうが、それは相手チームも同じことです。やはり基本の部分を徹底しないことには、安定して成績を残すことはできません。その意味では札幌戦(○2-0)は走り負けていたとはいえ、走行距離はほぼ五分でした。その上で後半戦に入っても足が止まらなかった。それが後半の2得点につながったのは間違いありません。