◆泥臭いサッカーを目指す以上、走行距離は避けては通れない

 逆に清水戦(○4-1)は走行距離の面でも勝利しました。ただ走れば良いという話ではないですが、泥臭いサッカーを目指す以上は避けては通れない要素だと思います。逆に言えば走り負けないサッカーをしなければ、サンフレッチェというチームは良いサッカーができないということを改めて感じる期間でした。

 走れなかった要因の一つとして、この4試合はパスやトラップのズレが目立ちました。ほんの少しズレるだけでも、タイミングが遅れることでノッキングが起こります。それもあって連動性に欠けるシーンが目立った印象がありますね。

 その点、清水戦では最終ラインからビルドアップして、しっかりボールをつなぐサッカーができていました。エゼキエウの初ゴールのシーンなどは、まさに城福監督が目指す連動性が発揮されたゴールでした。ブラジル人選手の連係は素晴らしかったですし、これまで出場機会に恵まれなかった柴﨑や井林なども効いていました。これまで試合に絡んでいなかった選手が活躍したというのは、これからを見据える上では大きいです。

 その意味でも清水戦は、すごく価値のある勝利でした。今なかなか試合に絡めていない選手も絶対にチャンスはあると思いますから、日頃の練習からしっかりやり続けることが大事になってくるでしょうね。

 川崎戦に代表されるように複数得点を奪われる試合も続きましたが、点を取られながらでも、やろうとする守備ができている試合も多いです。べったり引いて守るという守備ではなくて、今シーズンはラインを高くしてショートカウンターを狙うというサッカーを目指しています。それを90分間やり続けることは不可能なので、ブロックして守るところ、前から行くところ、そういうメリハリを90分の中でできるようになれば、もっと良い戦いができるようになるでしょうね。

 後半戦で必要になるのは、やはり得点、攻撃力でしょうね。ペレイラやヴィエイラといったストライカーがいるわけですから、彼らをより輝かせるシャドーがすごく重要になってくると思います。柏、茶島、ハイネルらを中心に両サイドからの崩しというストロングポイントはありますけど、中での仕事という部分で1トップ、2シャドーの絡みがもっと出てきたら面白くなりますね。

 その意味では森島や浅野に、どんどんゴールに絡んでほしい。周囲を納得させる数字を残して、チームを勝利に導いたという形をつくってほしいです。攻守両面で最後の仕上げにもっとこだわって、ベースである泥臭さ、最後の粘りを持ち続けて集中して試合に臨めば、まだまだ上位進出も可能だと思っています。