今季苦しい戦いを強いられているカープの中で、今後につながる明るい話題の一つが、プロ2年目・大盛穂の台頭だ。

 プロ1年目の昨季は育成契約ながら、チームトップの109試合に出場。シーズン後には晴れて支配下登録を勝ち取った。

走攻守すべての面で猛アピールを続ける大盛穂選手。スタメン出場も増えてきた。

 順調なステップアップに慢心することなく、オフにはフィジカル面を大きく改造。10キロ近い増量で、パワーアップを図った。すると、今季も二軍で出場機会を重ねる中で打率3割を越える成績をマーク。その活躍が評価されて、7月24日に一軍に初昇格となった。

「昇格を言われたときは『とうとう、きたか』という思いになりましたし、とてもうれしい気持ちでしたね」

 昇格初日に与えられたプロ初打席では「バッターボックスに立っている自分の足が浮いているかのような気持ちでした(苦笑)」と振り返るほどの緊張感を体感し、結果は凡退に倒れた。しかし7月26日のDeNA戦(横浜)では自身の持ち味である足を生かした内野安打を記録し、記念すべきプロ初安打をマークした。

 その後、代打や守備固めなど試合終盤の起用が続いていたが、着実に結果を残すことで、9月3日の中日戦戦(ナゴヤドーム)でプロ初スタメンに名を連ねるなど、首脳陣からの評価も徐々に高めてきた。
  
「まずは一軍の試合に慣れるということを前提に考えながら、やっぱり一番は『スタメンで試合に出たい』という気持ちで毎日取り組んでいます」

 実力者が揃う、カープ外野陣だが9月中旬には8試合連続でスタメン出場を記録。かねてから高い評価を受けていた走塁、守備はもとより、大盛自身「自分の中でプロに入ってから一番成長したのはバッティングだと思います」と語るように課題とされていた打撃力でのアピールに成功している。

 混迷の中スタートした2020年シーズンも、残すところ40試合を切った。ガムシャラに一軍の舞台で勝負する若鯉は、最後まで飛躍の2年目を駆け抜けていく。