昨季、ドラフト7位で入団した高卒2年目の羽月隆太郎。今季初の一軍昇格を果たした約1カ月間は大きな経験となった。

若手らしく走塁と守備でもファンを沸かせた羽月隆太郎選手。

 一軍デビュー戦の8月7日の阪神戦(マツダスタジアム)では、大きなインパクトを残した。ウエスタン・リーグ21試合で打率.327を記録し一軍初昇格を勝ち取った羽月は、昇格日にいきなり2番セカンドで先発出場。記念すべき初打席は、チャンスを拡大する犠打で4番に座った松山竜平の適時打をアシストした。

「もうすごく緊張していましたね。でも、これまでにやってきたことしか出ないというのは分かっていました。先輩たちからも『思い切っていけ』とアドバイスしていただいていたので、とにかく思い切っていこうと思っていました」

 続く第2打席ではセーフティースクイズを決め、プロ初安打初打点をマーク。5回には3塁打を放ち、2安打3打点と文句なしの鮮烈デビューを飾ってみせた。

「(一軍でプレーした中で一番印象に残っているのは)やっぱり、一軍に昇格してすぐに使ってもらった試合で決めたセーフティースクイズですね。プロに入ってまだ2年目ですけど、初めてのことでしたし、サインが出て一発でしっかり決めることができて良かったと思っています」

 打撃と走塁だけではなく、2回には守備でも魅せた。1死一、二塁の場面で木浪聖也が放ったライナーをダイビングキャッチし、二塁送球で併殺を完成させピンチの芽を摘んだ。走攻守の全てで持ち味を出し切り、試合後のお立ち台では初々しい仕草とコメントでスタジアムを沸かせてみせた。

「まさか自分が立つなんて思っていなかったですし、本当にありがたかったです」

 8月30日に二軍降格となったものの、一軍で得た経験は何物にも変えがたい財産となった。現在はその経験をもとに、再度のチャンスをつかむべくファームで奮闘を続けている。

「(一軍での約1カ月間は)自分の足りない部分が見つかった期間だったと思います。もう一回、足りなかった部分を二軍で克服して、次に一軍に上がったときは絶対にチームの勝利に貢献して、ずっと一軍にいたいと強く思うようになりました。走攻守すべてにおいて、足りないというか、足りなかった部分を見つけられたことが自分にとってプラスでした。それが一番の収穫だったと思います」

 1カ月弱の経験とはいえ、プロ2年目で課題が明確になったのは羽月にとって大きな糧となる。未来への希望を魅せた若鯉が、再昇格を目指して2年目シーズンを全力で駆け抜ける。