9月26日、育成契約の藤井黎來(ふじいれいら)が支配下選手となることが発表された。

落差のあるフォークボールが武器の藤井黎來投手。

  念願の支配下登録までの成績は15試合に登板し防御率0.87。「本当に今年が最後のシーズンだという危機感を持って毎日投げています」と語るなど、過去にない決意で臨んだシーズンで周囲を納得させるだけの結果を残していた。

「素直にうれしいです。やっとスタートラインに立てたという気持ちと、今まで約3年間支えてくれた監督やコーチ、親にしっかり感謝したいと思います」

 ここまでの道のりは決して平坦ではなかった。1、2年目は体づくりを中心として過ごしていたが、3年目の今季、ついに登板試合数が増加。実戦の場で結果を残すことで、自信も積み重ねてきた。

「今の目標は、一軍で投げることです。これからはチームの勝ちパターンで投げられるような選手になっていきたいと思います。チームに一試合でも多く貢献できるように頑張りたいです」

 下積み生活を経て、勝ち取った支配下登録。しかし、ここからが真の勝負でもある。プロ3年目、21歳の若鯉だが、うかうかしている余裕などない。事実、一軍の先発ローテーションとして活躍する遠藤淳志はドラフト同期。同時にプロ入りを果たした仲間であり、ライバルでもある。

「遠藤が良い投球をしているのをテレビで見るとやっぱり刺激になります。同期入団で同い年の投手が活躍しているのを見ると、自分も頑張らなければいけない、負けていられないと思いますね」

 目指すはあくまでも一軍の舞台。新たな背番号58を携えた右腕の下克上物語は始まったばかりだ。