10月14日にJ1リーグ第22節が行われ、サンフレッチェ広島がホームで川崎フロンターレを迎え撃った。9月13日のアウェーでの同カードは、川崎が5対1で圧勝。首位を独走(19勝2分1敗)する相手だけに、約1カ月越しの再戦もサンフレッチェの苦戦は免れないものと思われた。

決定機を演出した森島司選手だが、ミドルシュートは惜しくもバーに嫌われてしまった。

 ところが、まずは試合の主導権を握ったのはサンフレッチェ。試合開始と同時に前線から積極的なプレスを仕掛け、今季のテーマとなっているショートカウンターを発動させた。ゴールマウスを割ることはできなかったものの、ペナルティエリア内に選手が切れ込むシーンを幾度となく演出。川崎のカウンターでヒヤリとする場面はあったが、サンフレッチェが目指すサッカーは体現できていた。

 ところが後半56分、川崎の選手交代の直後に左サイドを割られ先制点を献上。チャンスをつくるという意味ではサンフレッチェも負けてはいなかったが、要所でゴール前のパスの精度、決定力の差が現れる形となった。

 直後の60分には森島司がフリーでクロスのこぼれ球に合わせるも、シュートは無情にもバーを叩いた。決定的なシーンだっただけに、ここで追いつけなかったことが以降の試合展開にも影響を及ぼすことになった。チーム全体で手応えを感じていたというだけに、森島自身も試合後は悔しさを露わにした。

「前回負けていたので、しっかり堅い試合をして勝ち点3が欲しかったですけど…負けて悔しいです。90分を通じて悪くはなかったと思うんで決めるところを決めたら展開も違ったと思います。先制点も自分のところからクロスを上げられましたし、そういうところを修正して(次節の神戸戦では)先制点を取って良い流れでいきたいと思います」

 とはいえ、圧倒的な戦績を誇る川崎を相手に、サンフレッチェが理想に掲げるサッカーの形は見えた。0対2という結果だけ見れば完敗でも、前回の大敗とは大きく内容が異なっている。

「前線でプレスをかけるところと、ゴール前でしっかりブロックを敷くところのメリハリはあったのかなと思いますし、攻撃のときも前半はとくにカウンターでチャンスつくれていたのでメリハリはあったと思います」

 悔しさの残る一戦となったが、同時に収穫も少なくなかった。流れは悪くないだけに、次節(10月18日)の神戸戦でも”サンフレサッカー“を貫くのみだ。