「ある程度、出すことはできましたけど、やはり結果を出さないと意味がないので非常に悔しいです。ホームで負けたので次は必ず勝ちたいと思います」

 これは第22節の川崎戦で敗れた直後に、佐々木翔が口にしたコメントだ。川崎戦から中3日で迎えたホームでの神戸戦。攻守ともに目指す形は出来つつあるだけに、チームとしても勝ち点3を奪うことは絶対条件だった。

神戸ゴールに豪快なヘディングシュートを突き刺した佐々木翔選手。

 ところが試合直前になって城福浩監督が、親族の不幸によりチームを離脱。佐々木にとってはヴァンフォーレ甲府時代から密な関わりがあるだけに、この一戦は他の選手と比べても特別なものとなった。

「言葉では言い表せない感情もありますし、付き合いが長いぶん僕らもいろいろな感情があります。監督が今まで僕らのためにつくってきてくれたサッカーで勝利できたのは良かったですし、勝利を監督に届けることができたことは僕たちとしても良かったことだと思います」

 この一戦に懸ける強い思いが引き寄せたのか、前半43分には森島司のコーナーキックに頭で飛び込み、神戸戦のポイントとして挙げていた先制に成功。守備面では後半、システムを変えて前がかりになった神戸の攻めに手を焼いたが、粘り強く守ることで勝ち点3を引き寄せた。

「(コーナーキックは)狙い通りです。コーチたちの分析通りで、普段から練習でやっている形でした。モリシ(森島)から良いボールが来たので、僕は強く叩くだけでした。(次節に向けての課題は)1点取られる前に3点目を取るというところも重要なので、またそういう考えを植え付けて前に進めればと思います。ただ今日に限って言えば、監督に良い報告ができる。それが一番です」

 強い思いを持って臨んだ一戦で、佐々木が今季初ゴールを決め勝利に貢献。後半戦での再浮上を期すなか、サンフレッチェがキャプテンの力強い一発で暫定ながら順位を一つ上げることに成功した。