いよいよ10月26日に迫った2020年のドラフト会議。苦しい戦いを強いられているカープがドラフトで狙うべき選手とは? アマチュア球界を長年取材する安倍昌彦氏に今ドラフトの注目選手を語ってもらった。

ドラフト候補選手たちの投球を実際にブルペンで受けた上で選手たちの状況を語る“流しのブルペンキャッチャー”としての活動を行う安倍昌彦氏。

◆近大・佐藤をさらに飛躍させるプランとは

 前回は早稲田大の早川とトヨタ自動車の栗林について語りました。次は即戦力候補と目される野手に目を向けていきます。ズバリ、今回のドラフトで注目すべき野手は近畿大の佐藤輝明選手です。一般的な見方で言えば打力、特に長打力に注目が集まりますが、私は佐藤選手のフィールディングに一目置いています。おそらくプロの世界では打力を生かすために外野手に専念させるのではないかと見ていますが、佐藤選手は背が高いわりに足下のプレーも決してもろくありません。

近畿大の佐藤輝明選手

 普通長身の選手は、腕だけを伸ばし球を処理しがちなのですが、佐藤選手の場合はフットワークも軽く腰をしっかりと割っています。また走塁面ではベースをターンする際にも機敏な動作を見せていますし、細かなところで非常に良いプレーを見せてくれていました。

 現在巨人の遊撃手として活躍している坂本勇人選手が186センチということもありますし、決して背の高い選手がショートとして大成しないということはありません。佐藤選手のプレーから考えると、思い切ってプロでは遊撃手として育てていくことで、規格外の選手へと成長するポテンシャルは十分秘めていると思います。