今季待望の一軍初昇格を勝ち取った、2017年ドラフト1位の中村奨成。現状一軍の舞台では4打数ノーヒットに終わっているが、自身の課題を明確にできた点も含めて実りある経験となった。

今季プロ入り初の一軍初出場を果たした中村奨成選手。

「一軍の投手と対戦する中で、確率はすごく低いけど甘い球がこないわけではないということが分かりました。その1球をとにかく仕留めることに意識しています」

 実際の帯同期間は1カ月にも満たないが、一軍クラスの投手の球を経験することで、二軍での意識も大きく変化したという。打席内ではこれまで以上に打撃の精度を高めることを念頭に置き、“甘い球”を即座に仕留める姿勢を見せている。

 そうした取り組み、意識の変化が結果として現れたのが10月20日のソフトバンク戦(由宇)の今季初本塁打だった。3番でスタメン出場を果たすと、初回にレフトへの3ランを記録。初回から2者連続四球を与えるなど、不安定な立ち上がりを見せていたソフトバンク先発・スチュワートの甘い球を文字通り“1球”で仕留めることに成功した。

「一軍で4打席も立たせてもらいましたが、結局結果は出せませんでした。そこで結果が出せないということは、まだまだ自分の実力が足りなかったということです」

 悔しさを胸にしまい、今は鍛錬を重ねる背番号22。多くのカープファンが期待をよせる中村奨が自慢のバットで、アピールを続けていく。