いよいよ10月26日に迫った2020年のドラフト会議。苦しい戦いを強いられているカープがドラフトで狙うべき選手とは? アマチュア球界を長年取材する安倍昌彦氏に今ドラフト候補選手の中で、特にカープにオススメの選手を紹介してもらった。

ドラフト候補選手たちの投球を実際にブルペンで受けた上で選手たちの状況を語る“流しのブルペンキャッチャー”としての活動を行う安倍昌彦氏。

◆堅実なタイプの遊撃手・元山。中京学院中京の元も潜在能力は折り紙付き

 これまでは、どの球団でも間違いなく上位指名が期待される選手を紹介してきましたが、今回はその中でも特に“カープにオススメしたい”という観点で選手を紹介していきたいと思います。

東北福祉大の元山飛優(もとやま・ひゆう)選手

 まず東北福祉大の遊撃手・元山飛優(もとやま・ひゆう)選手です。これまでカープは2年連続で遊撃手を獲得していますが(2018年ドラフト1位・小園海斗、2019年ドラフト4位・韮澤雄也)、それを差し引いても獲得を検討しても良い選手だと評価しています。打撃の雰囲気としては西川龍馬選手をイメージしてもらうと良いかもしれません。しなやかなスイングで全身の連動で打っていくようなタイプの選手です。

 昨年までは気持ちよくヒットを打ちたいばかりに、打球を引っ張る傾向があったのですが、大塚光二監督(元西武・東北福祉大監督)の指導のおかげか右中間方向に痛烈な打球がいくようになりました。凡打の質も良くなった印象を受けますし、打撃についてはプロでの伸び代も十分感じます。

 フィールディングに関しては、投手が打ち取ったと思う打球をそつなくアウトにする、堅実なタイプの遊撃手です。これまでもカープは梵英心氏、そして現在の田中広輔選手など派手なプレーはせずともしっかりとアウトを取り切る選手が代々レギュラーを務めてきました。そういう意味でもカープのカラーに合っていると思いますし、ズバリカープにオススメしたい選手の一人と言えます。

中京学院大中京高の元謙太(げん・けんだい)選手

 また高校生を鍛え上げるという観点から言えば、中京学院大中京高の元謙太(げん・けんだい)選手もオススメの選手です。現在カープの4番を打つことが多い鈴木誠也選手2世と言いたいぐらい高い潜在能力を持っています。練習試合では打ち損じで擦ってしまった『レフトフライだな』と思ったような打球がそのままスタンドインしたり、そして内野フライが上空に上がりすぎてセカンドとショートが打球を見失って落球したときにはすでにサードに滑り込んでいる……そんな場面を何度も見てきました。

 実は抑え投手を務めることもあり、コンスタントに145キロを記録する肩も持っている選手です。もちろん現在のチーム事情にそぐわない選手なのかもしれませんし、競合を避けようとする他球団が1位指名してくるケースも十分考えられます。しかし、私個人の見解では、カープの練習下で育成されることで、潜在能力を爆発させる可能性を持っている選手だと見ています。