チーム2位の打率をマークするなど、今季のカープ打線を牽引する堂林翔太が、10月22日の阪神戦(甲子園)でプロ3年目の2012年以来、8年ぶりとなる『シーズン100安打』を放った。

10月22日の阪神戦で、8年ぶりのシーズン100安打をマークした堂林翔太選手。

 5試合ぶりにスタメンに復帰し迎えた第1打席。會澤のタイムリーで1点を先制した直後の2死一、二塁で打席が回ってくると、阪神先発・岩田の初球を詰まりながらもライト線に運びタイムリー二塁打をマーク。逆方向へのしぶといバッティングで、スコアボードに今季100度目のHランプを灯した。

 背水の陣で迎えた2020年シーズンは、開幕スタメンを勝ち取ると、一時期は打率4割前後を推移するなどリーグトップの打率を維持。プロ11年目の覚醒に、周囲の期待は日に日に高まっていった。しかし、夏場に入り調子が下降線を辿り、17打席連続無安打を記録するなど、8月の月間打率は.256。9月も月間打率.200とシーズン序盤の勢いは薄れつつあった。

 だが、10月に入り徐々に本来のバッティングを取り戻すと、打率は.289まで上昇。プロ入り初となる『打率3割』達成の可能性も狙える状況にある。

 現役時代は共に護摩行を行ったカープOB新井貴浩氏は、今シーズンの堂林のバッティングを「開幕から良い数字を残していますが、まず見送り方がよく、凡打の内容が以前と違います。これが結果につながっているんだと思います」と評価する。

 かつての定位置であるサードでの出場も増え、攻守にわたりチームに欠かせない選手へと成長した堂林。

「大切なのは1年間、一軍の戦力としてあり続けること。1日1日が勝負だと思って戦っていきたい」。

 今季はあくまでもシーズン通しての活躍をしてこそ、という強い思いを持っている。『広島のプリンス』と呼ばれ大きな期待をかけられていたが、不甲斐ないシーズンが続いていた。その鬱憤を晴らすかのように、生まれ変わった活躍を続ける背番号7。シーズン終了に向けて、最後まで駆け抜けてみせる。