過密日程が続くなか、サンフレッチェ広島が攻守両面で持ち味を取り戻しつつある。結果的に敗れたものの、10月14日には首位を独走する川崎と真っ向勝負を展開。「サンフレッチェらしさを具現化した素晴らしい試合」と評価したサンフレOBの吉田安孝氏が、熱戦が続くリーグ後半戦を振り返る。

清水戦で右足を負傷した永井龍選手。早期の復帰が期待される。

 9月13日の川崎戦で大敗(●1-5)してしまったサンフレッチェですが、すぐに気持ちを入れ替えてチーム状態を立て直すことに成功しました。直後の柏戦(9月19日/△1-1)で荒木隼人を中心としたDF陣が得点ランキング1位のオルンガを見事に抑え込みましたし、引き分けだったのがもったいないような試合内容でしたよね。その勢いのまま、大分戦(9月23日/○2-0)では逆転負けを喫した第3節(7月8日/●1-2)のリベンジを果たすことにも成功しています。

 ただG大阪戦(9月27日/●1-2)では最後の詰め、寄せの甘さを露呈してしまいました。ゴールにつながる一つ前のセカンドボールの拾い方、そこで相手をフリーにさせるとG大阪戦のような失点につながってしまいます。

 2点目を奪われたシーンはドウグラス・ヴィエイラが相手GKにプレッシャーを与えて、GKが苦し紛れに前線にボールを蹴るというシーンをつくり出していました。本来ならばそこでサンフレッチェの選手がボールを奪わなければならないのですが、ミドルゾーンで簡単にボールを奪われ、前線のパトリックへゴールにつながるパスを供給されてしまいました。

 当たり前のことですが全てのゴールは、まずはマイボールにするところから始まります。逆にそこでボールを奪われれば当然、攻め込まれてしまいます。そのせめぎ合いの部分をしっかり意識して、選手たちには試合に臨んでほしいですね。

 その意味ではセカンドボールをすごく意識していたのが鳥栖戦(10月3日/○3-0)だったと思います。局面、局面でのちょっとした頑張りだったり、あと一歩の寄せの部分。この試合では泥臭くセカンドボールを奪っていましたし、現時点での今季のベストゲームと言えるでしょう。

 どうしてもゴールシーンが目立ちますけど、重要なのはそこに至るまでの過程です。あと数歩の寄せなどなかなか数字に現れない部分ですが、今後もそういう細かい部分が勝敗を左右する要素になるでしょうね。