◆やりたいサッカーを思う存分、ピッチ上で体現してほしい

 そういった意味では鳥栖戦にしろ清水戦(10月10日/○3-2)にしろ、FWの永井龍が効いていました。何回、スプリントしているんだというくらい、前線から積極的にボールを奪いにいっていました。本当にチームに刺激を与えましたし、ピッチ上でやるべきことを体現しているようでした。

 永井に触発されるように2列目、3列目の選手も連動してボールを奪いにいっていましたよね。清水戦でケガをしてしまいましたが、この2試合で彼が残したものは大きいです。実際に体で示すことで、もう一度サンフレッチェのサッカーを取り戻してくれたように思います。

 敗れてはしまいましたが、ホームの川崎戦(10月14日/●0-2)も内容的には素晴らしいものがありました。前線から積極的なプレスを仕掛け勝ち点3を奪った神戸戦(10月18日/○2-1)共々、チームが目指す戦いができていたように思います。鹿島戦(10月24日/●0-1)は少しもったいない内容となりましたが、攻守両面で良い部分も見えた試合でした。

 今後も厳しい戦いが続きますが、サンフレッチェには鳥栖戦や清水戦で見せたような自分たちのやりたいサッカーを思う存分、ピッチ上で体現してほしいですね。勝ち負けももちろん大事ですが、いかに試合の中でサンフレッチェらしさを出すか。土肥航大ら若い選手も育ってきていますし、それが来年、再来年のチームづくりにもつながってくると思います。

 最後にGK史上8人目となるJ1通算300試合を達成した林卓人にも触れておきたいと思います。開幕当初は日本代表にも選出された大迫敬介に正GKの座を譲っていましたが、ここへきて林のスタメン出場が増えています。高いレベルでGKが競い合っていますし、伝統のGK王国が復活したような印象を受けます。

 サンフレッチェが強い時というのは正GKが一人だけではありません。昔で言えば前川和也がいての河野和正。それこそ下田崇がいたときは、後ろに林が控えていました。高いレベルの切磋琢磨という意味では、大迫にとってものすごく良い勉強になっていると思います。

 GKを含めたDF陣も決して悪くはないですし、後半戦の行方を左右すると思われるシャドーも森島司や浅野雄也が素晴らしいゴールを決めてくれています。チームとして状態は悪くないだけに、サンフレッチェらしい思い切りの良い試合を貫いて、シーズン終了まで全力で戦い抜いてほしいですね。