開幕当初は昨季に引き続き大迫敬介の控えに回る形となっていたが、9月中旬からは再び正GKの座に君臨。サンフレッチェの守護神・林卓人が、チームの持ち味である堅守に大きく貢献している。再浮上を期すリーグ戦が佳境を迎えるなか、頼れるベテランがチームを一段階上へと押し上げる。

背水の陣で臨んだ今季。林卓人選手が再び正GKとして試合出場を続けている。

― 若い選手たちに特別、声をかけることはあるのでしょうか?

 「いえ、特にはないですね。気づいたことを口にする選手も多いですし、若い選手も本当に一生懸命やっています。むしろ若い選手たちが中心となってチームを引っ張っていると思うので、僕らは彼らの背中を押してあげられれば良いかなと思っています。『失敗を恐れず、どんどんトライしろ』という気持ちですね」

― では改めてプロ20年目となる今季は、どのような気持ちで臨まれましたか?

 「昨年、悔しい思いをした分を取り返すじゃないですけど、強い気持ちを持ってシーズンに臨んだのは間違いないです。本来ならアウトを宣告されてもおかしくないような状況で、クラブからチャンスをもらいました。拾った命ではないですけど、チャンスをもらった以上は思い切りやるだけだったので、そこは良いモチベーションでずっとここまでやれています」

― 城福監督からは、どのような指示を受けているのでしょうか?

 「『ピッチ上では一番気持ちを出してプレーしてくれ』と言われています。勝利に対するメンタリティ、勝負に対する貪欲さを求められていると解釈していますが、そこは自分のストロングポイントでもあると思っているので、これからも勝ちたいという気持ちを前面に出していきたいと思っています。ただ、その部分は若い選手も含め全員が出せていると思いますし、だからこそチーム内でも良い競争が生まれています。監督もそれを一番望んでいると思うので、チームを取り巻く環境は決して悪くはないですね。なので僕らくらいの年齢の選手もコンディション調整という気持ちで練習するのではなく、若い選手と同じ気持ちでピッチ上に立ってチームを活性化させたいですね」

― では最後にリーグ戦に向けての意気込みをお願いします。

 「ちょうど半分折り返したところで、前半戦は自分たちの思い通りの結果ではなかったです。ただ、全員でこの過密日程を乗り切れば、今年、来年の話だけではなくこの先、何年経っても受け継がれるような大事なものが築ける年だと思っています。だからこそ一生懸命にプレーして、個人だけではなくチーム全体で成長していきたいですね」