カープ一筋23年の佐々岡真司氏を新監督に迎え挑んだ球団創立70周年の記念シーズン。結果は52勝56敗12分けで5位。2年連続のBクラスで2020年の戦いを終えた。

 ここでは、数々のドラマが繰り広げられた2020年ペナントレースの戦いを振り返っていく。今回は、8月7日の阪神戦(マツダスタジアム)。期待の若鯉・羽月隆太郎が一軍初出場を果たした試合をお送りする。

8月7日の阪神戦。プロ初出場・初スタメンの羽月隆太郎選手が2安打3打点の活躍をみせ勝利に貢献。初のお立ち台も経験した。

◆高卒2年目の鮮烈デビュー。2安打3打点の活躍でお立ち台も経験

 167cmとチームで最も小さな、高卒2年目の羽月隆太郎が、今季一軍の舞台で大きな存在感を示した。

 二軍で着実に結果を残したことが認められ、8月7日にプロ初の一軍昇格。佐々岡監督は成長著しい若鯉を、昇格したその日の試合で「2番・セカンド」で起用した。

 「(デビュー戦は)ものすごく緊張していました。でも、これまでやってきたことしか出ないというのは分かっていました。先輩たちからも『思い切っていけ』とアドバイスしていただいたので、とにかく思い切っていこうと思っていました」

 まずは初回のプロ初打席で送りバントを決めると、続く2回の1死一、三塁の場面では一塁線へセーフティースクイズを試み、これが内野安打に。プレッシャーのかかる場面でしっかりと小技を決め、記念すべきプロ初安打・初打点を記録した。2点差に迫られ迎えた5回1死一、二塁での第4打席では、ライトの頭を越える2点タイムリー三塁打。小技の次は長打で貴重な追加点を叩き出した。

 守備でも魅せた。2回、センター前に抜けそうなライナーを飛びついて捕球するなど、攻守にわたる活躍で、先発のドラ1右腕・森下暢仁を援護した。森下は6回108球の粘投。5回に集中打を浴び4点を失ったが、先発としてしっかりと試合をつくり本拠地初勝利となる3勝目を手にした。

 初スタメンでフル出場を果たした羽月は2安打3打点の活躍で初のお立ち台も経験。監督の期待に結果で応えた若鯉が、低迷するチームに新風を巻き起こした。

 「一番印象に残っているのはセーフティースクイズですね。サインが出て一発で決めることができたのは良かったと思います。また、お立ち台は、まさか自分が立たせてもらえるとは思っていなかったので、本当にありがたかったです」

 鮮烈デビューを飾った8月7日の阪神戦から約1ヶ月間、一軍でプレーした羽月。この期間は、高卒2年目の羽月にとって、貴重な時間となった。

 「自分の足りないものが見つかった期間だったと思います。走攻守すべてにおいて、足りなかった部分を見つけられたことが自分にとってプラスでした。それが一番の収穫だったと思います」

 今シーズン、羽月は一軍で17試合に出場。そのうち、10試合にスタメン出場を果たした。「一軍を経験させてもらったことで、すべてにおいて意識がガラッと変わりました」。一軍経験で得た大きな収穫を糧に、3年目となる来季は一軍定着を果たしてみせる。

●試合結果
8月7日
カープ 11ー6 阪神
勝:森下 3勝2敗 
負:青柳 4勝2敗
本塁打:(広)松山3号