◆勝負どころで力が出せる調整法

 昨年のドラフトでは、武田高から谷岡楓太投手が、オリックス・バファローズに育成ドラフト2位で入団しました。高校1年の頃の谷岡投手の球速は125km。それがトレーニングを重ねたことで、3年時には150kmの速球を投げる投手に成長し、ドラフトで指名されるまでになりました。投手で言うと、谷岡投手のように、全員が150km出せるように鍛えることが僕の目標です。

 今年も久保田大斗投手がプロから注目されています。8月29日・30日に甲子園で開催された「プロ志望高校生合同練習会」では、高校生6人に対して、4連続奪三振と内野ゴロ2本というナイスピッチングをみせてくれました。

 久保田投手は、夏季広島県高等学校野球大会の準決勝・広島商との一戦で143球を投げました。一般的に143球と聞くと球数は多いです。効率化練習で普段投げ込みをさせていないのに、そこまでの球数を投げさせて大丈夫かという声もあるでしょう。ただ僕は大きな影響はないと考えます。なぜなら、普段、無理な投げ込みをしておらず、体が消耗していないからです。そして、それくらいの球数に耐えれるトレーニングをこなしていると自信をもっています。これらの調整法により、勝負どころでフルに力を出すことが可能となるのです。

 今年ベスト4に入っただけに、今後もコンスタントに上位を入ることを期待されますし、甲子園に出場できるチームにしていかないといけません。ただ、トレーナーとしては、もう少し先を見るようにしています。

 もちろん甲子園に出場し、そこで活躍してほしいですが、甲子園はあくまで通過点。選手が、甲子園で燃え尽きるのではなく、その先、いちスポーツ選手として大成してくれるような指導を心がけています。やっぱりそのほうがうれしいですから。いま武田高には将来が楽しみな選手がたくさんいます。今後の武田高の躍進を温かく見守っていただけるとうれしいです。

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高島誠(たかしま・まこと)
広島県東広島市の西条町にある、野球専門のトレーニングジム「Mac's Trainer Room」の代表。オリックス・ブルーウェーブ(現オリックス・バファローズ)、MLBワシントン・ナショナルズのトレーナー経験があり、現在も数多くのプロ野球選手とトレーナー契約を結んでいる。趣味はパルクールとサウナで、サウナ・スパスペシャリストの資格も持つ。野球トレーニングのオンラインサロンの運営、【英語】x【身体作り】x【野球】がテーマの中学硬式野球チーム「東広島ポニー」に携わるなど、様々な分野で活躍。「Mac's Trainer Room」のYouTubeチャンネルでは、野球トレーニングに関する動画を公開中。
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