◆時間がないことを絶対に言い訳にしない

 50分練習には、もちろんデメリットもあります。それは連携プレーやサインプレーなど、実戦で必要な細かい練習ができないことです。守備の連携プレイなどがそうですね。50分しかないため、時間をかけて習得するような技術、チームプレーが習得しづらいと言えるでしょう。

 8月の大会でも守備のミスから失点を重ねることが何度かみられました。勝つためには、そこは改善していかないといけませんが、武田高の何倍も全体練習時間をとっているチームにも守備のミスはありました。“時間のコストパフォーマンス”の視点で考えると、武田高の生徒は、学業と野球を両立させながら、結果を残していると思っています。

 武田高がなぜ50分練習を採用しているかというと、学業と両立させるためです。野球部の部員は全体練習後、約1~2時間、勉強をしています。選手の中にはプロ志望届を提出し、同時に国立大学を受験する子もいます。武田高の岡嵜雄介監督は、学業とスポーツの両立を第一に考えているため、野球部が強くなり注目を集めるようになったとしても全体練習の時間を長くすることはしないと決めているそうです。

 岡嵜監督は監督に就任した時点で、50分練習を絶対に勝てない言い訳にしないと決めたそうです。できないではなく、どうやったらできるかを考えることが大切。これは僕たち社会人にも言えることですね。