◆同学年トリオで引っ張りたい

—— 打撃内容を見ると、第一打席(124打数38安打、打率.306)、第二打席(114打数35安打、打率.307)と好成績を残しています。この要因はどこにあると自己分析されますか?

「やはりチームで試合の一番最初に打席に立つ訳ですから、僕の内容次第ではベンチにいる選手が『今日はいけるぞ』と思うこともあると思うんです。そういう意味でもチームを勢いづけたいと思っています。特にプレッシャーを感じていたこともありません」

—— 得点数がリーグ1位(102)という数字が残りました。今季はホームへ突入する強い意識を感じますが、この数字に関してはどのように感じていますか?

「もともとカープには伝統的に〝常に次の塁を狙う走塁〟というものがあると思いますが、今季はコリジョンルールが適用されていただけに、よりホームへ帰るために走る意識が強かったです」

—— 試合中は投手に声をかける場面も多く見られました。意識している部分はあったのですか?

「意識していましたし、監督からも言われていることでした。今季はキク(菊池涼介)と二人で『どちらかが、なるべく声をかけにいこう』と話ながらやっていました。あとは守りの最中、今までより自分に余裕ができたということも大きいです。黒田(博樹)さんからは『俺が投げているときでも、きてくれよ』と言っていただいているので、間を取る意味も含めてマウンドへいくことを意識していました」

—— 今季は菊池選手、丸(佳浩)選手と、同学年での上位打線が塁上を駆け巡る試合も多かったと思います。やはり攻守において刺激となる存在ですか?

「やっぱりお互いに意識しながらプレーしていると思いますし、今季は打順も一番、二番、三番として良い成績を残せたと思うので、そういう面でも良かったなと感じています」

—— 三人でチームを引っ張るという意識もあったのでしょうか?

「昨季まであの二人は〝キクマルコンビ〟と周囲から呼ばれていましたし、僕も〝その中に加わってチームを引っ張りたい〟という意識をずっと持っていました。今季は少しは二人に加わってそれができたと思いますし、これからもっと、そういう意識でプレーをしていかなければと思っています」

—— 今季を振り返って、印象に残ったプレーはありますか?

「自分の打撃だけでいうと、菅野(智之)から二打席連続ホームランを打った試合(7月28日・巨人戦(京セラドーム))です。もちろん、どの投手からも打ちたいと思っていますが、高校・大学の同級生なのでどうしても意識してしまう部分はありますし、彼は僕以上に意識しているのではないかと思います。それだけに打ててうれしかったですね。一番打者の役割という目線で言うと、9月10日に優勝を決めた試合です。安打は打てませんでしたが、四球が3つ、死球が1つと全打席出塁して2得点したことは印象に残っています」

—— ご自身が残した数字において、評価したい部分はあります?

「一番打者を任されていたので、出塁率と得点数は評価したい部分です。ずっとその数字を意識してプレーしてきて、一番打者として出塁率は3割6分台を残せましたし、得点も100を超えることができました。そういう意味ではこの数字は誇れると思います」

■田中広輔(たなか・こうすけ)
1989年7月3日生 神奈川県出身
東海大相模高ー東海大ーJR東日本ー広島(2014〜2025年)