創設から20周年を迎えるルートインBCリーグ。この大きな節目を彩るのは、シンガーソングライターの竹原ピストルさんが、挑戦を続ける選手たちへの想いを込めて書き下ろした応援歌『ばっちこ~い!!』だ。
疾走感のあるメロディーの中に、葛藤を抱えながらも夢に向かって努力を重ねる選手たちの切ない気持ちを汲んだ歌詞は、BCリーグならではの多くの選手たちの姿が投影されている。この曲に込めたテーマやBCリーグへの思いを竹原さんに伺った。
◆BCリーグの事をよく知らずに一気に書き上げた曲
―明るい応援歌というより、ちょっぴり切ないフレーズもある独立リーグらしい曲という印象でした。どんな風景をイメージされて作られたのでしょうか。
竹原「BCリーグ20周年を記念してのテーマソングを書き下ろしてほしいというオファーをいただいたときは、もう二つ返事で『ぜひ書かせてください』とお引き受けしました。サビの部分も、皆さんが一発で覚えられるようにシンプルで、かつ野球に関連したものがいいなと考え、中学時代の野球経験から『バッチコイ』という掛け声をサビに持ってきて完成させました。 実は、曲を提出した後に、失礼ながら初めて『BCリーグがどういうリーグなのか』を詳しく知ったんです。NPB入りを目指していたけどスカウトにかからなかったとか、一度は退いたけど、もう一度NPBでプレイをしてみたいという熱い気持ちを持った選手たちが集まっているリーグなのだと、後から知って、我ながらぴったりの曲が作れたなと思いました。」
―後から歌詞を修正することもなかったのですか。
竹原「はい、最初に出したものが、ハマったんです。なぜハマったのかと言えば、自分も『歌い手』として色々な人に支えられてきて、『いつか良いところを見せたい』『恩返ししたい』『結果を出してみせる』と思いながら、ずっとやってきたからですかね。歌詞の中にもそんなくだりがありますが、ここで成果を出せなかったらこの先はないかもしれない、もちろんチャンスに臨んで、結果が出せないこともある。でも続けていれば、また次のチャンスが巡ってきたりする。そういう部分は、BCリーグの選手に限らず、何かを頑張っている人すべてに通じる事なのかもしれないなと思います」
―BCリーグの試合もご覧になったそうですが、いかがでしたか。
竹原「実はその前に、昨年までBCリーグでプレイしていた選手とお芝居の現場でご一緒して仲良くなり、いろいろお話を聞くことがあったんです。『発表前ですが、今度BCリーグの曲を書かせてもらったんですよ』って。その方から、NPBの切符を掴むために闘志に満ちた選手が集まっているリーグだから、みんなガツガツしていて見応えがあるよ、と。曲はもう提出した後でしたが、実際に3月の寒い時期にオープン戦を2回見に行きました。必死にプレイする姿から感じるものがありましたし、すごいところで勝負してるんだなって思いましたね。BCリーグの選手は、あと少しで夢に届くところにいる。そこがまたいいなと思って観戦しました」
◆スポーツを通じて経験したことは無駄な時間ではなかった
―中学校では野球をされていたとお聞きしました。
竹原「キャッチャーでした。キャッチャーをやりたい人がいなかったので、今から頑張れば試合に出してもらえるかもと思い選びました。でも、キャッチャーって配球や指示が分かっていないとだめじゃないですか。アウトのカウントと、ランナーがいた場合、こういう打球が来たらどこに投げるみたいなこと、どんな指示を出していいのか僕はその辺が全く分からなかったので、結局ピッチャーが全部指示を出していました(笑)。球種の指示も非常に単純なサインでしたが、夢中でやっていたので楽しかったです。若いくせに、自分に野球の才能がないのもわかっていたので、プロ野球選手にあこがれることもなかったですね」
―高校、大学ではボクシングもされていたそうですが、音楽の道に進むきっかけは何だったのですか?
竹原「厳密に言うと、中学生の頃にはすでに将来歌手になりたいと思っていました。ガキの頃から人前で出し物をして喜んでもらうのが好きで、一言で言えば目立ちたがり屋だったんです。中学でやっていた野球や、高校・大学でのボクシングは、あくまで部活動としてやっていました。 高校で最後の大会に負けて引退したときは、『卒業後はプロミュージシャンへの道を歩もう』と思っていたのですが、ひょっこり大学から体育推薦の話が来てしまって(笑)。親の希望もあって、大学でもボクシングを続けることになりました。名門のボクシング部で練習は厳しく、最初はボコボコにされましたが、だんだん強くなって面白くなってしまい、不覚にもボクシングに夢中になってしまったのが大学時代でしたね。
大学2年生の時に初めて地区大会で優勝して、全日本選手権に出たことがあるんです。1回戦で広島代表の選手とあたったんですが、普通のワンツーが見えなくて、ボーンとまともにくらって負けちゃったんです。今までの俺は何だったんだろうっていうくらい心が折れて。しかも、勝ち上がった選手が2回戦の1ラウンドであっさり倒されちゃうんですよ。厳しい世界だと思って。これでボクシングは未練なくきっぱり諦めがつきました。もちろん、ボクシングをやっていたからこそ今の考え方になった部分もあるので、無駄な時間ではなかったなと思います。それで引退後、元々持っていた『プロのミュージシャンになりたい』という夢に向けて、やっと行動に移し始めました」
―でもその相手がもしチャンピオンになっていたら……。
竹原「『くじ運が悪かったな』と思わせてもらえればよかったんですけど、もう本当にマンガみたいに負けて。その選手も次にすぐ負けちゃって。そういう世界なんだなって思いましたね」

