現在のカープを支える主力選手のルーキー時代を振り返る本企画。今回は、チームを代表するスラッガー、松山竜平がプロ1年目の様子を独占インタビューをもとに紐解いていく。

1年目の春季キャンプで、豪快なバッティングを披露し注目を集めた松山竜平選手。プロの壁に当たるも原点回帰で、自分の打撃を取り戻した。

◆「結果を求めるあまり、自分の長所を忘れていました」

 2007年大学・社会人ドラフト4巡目で九州国際大学からカープに入団した松山竜平。持ち前の豪快なバッティングで、1年目の春季キャンプでは、一躍注目の的となった。しかし、キャンプ中盤にプロの壁にぶつかると、日に日に快音が聞かれなくなくなり、開幕は二軍で迎えることとなった。

「バッティングには自信があったんですけど、実戦に入っていく中で自分の弱点を相手に見抜かれて結果を残せなくなっていきました。最初はいけると思っていたんですけど、プロの世界はそんなに甘くないなと痛感させられました」

 開幕一軍は果たせなかったが、二軍の野手陣のなかでは、圧倒的な成績を残したことが認められ、4月24日に初の一軍昇格。しかし、結果を残すことなく、2打数ノーヒットのまま二軍降格に。

「一軍に上がってからは、結果ばかりを求めてしまい、自分のスイングができていなかったように感じます」と当時の松山が話したように、スラッガーとして期待されながら、不完全燃焼のまま一軍をあとにした。

 一軍への再昇格を目指し鍛錬を続けていた松山だったが、二軍に降格してからは調子が下降。二軍戦開幕当初はスタメンに名を連ねていたが、降格以降は遠征メンバーから外されることも増えた。プロの壁にぶち当たった松山は、復活の道をガムシャラに模索した。

「思い切りの良いバッティングが評価されていたので、もう一度初心に戻ろうと。それは『フルスイング』。どうすれば結果が出るのかということばかり考えて、自分の長所であるフルスイング、思い切り積極的に振っていくことを忘れていました」

 小学校の監督からの指導で「お前は何も考えずにただ来たボールを思い切り振れ」と言われ、そこから野球をするうえでの指針になってきたフルスイング。その原点を思い出したことで、少しずつ調子を取り戻していった。

「一日でも早く一軍に上がりたい。そして、負けず嫌いなので、バッティングでも守備でも負けたくない。これからもドンドンそういった気持ちを出していきますよ」

 その後は故障なども重なり、長い下積み生活を送ったが、2013年に124試合に出場し、初の二桁本塁打(10本)を記録。以降、持ち前の打撃力を武器に、一軍に欠かせない戦力として現在も活躍を続けている。