2020年限りで現役引退した石原慶幸を、同じ捕手というポジションから見続けてきた會澤翼。カープを牽引する強力なキャプテンシーを持つ男の成長は、石原なしには考えられないものだった。入団以来、その絆を深めていき石原の引退試合ではグラウンド上では“男泣き”も見せた會澤に。石原との思い出を語ってもらった。

同じポジションを争うライバルながら、石原慶幸氏と現役時代を通じて良好な関係を築き上げた會澤翼選手。

◆ときには試合中にアドバイスを聞くことも

 イシさん(石原慶幸)には、これまでに本当にいろいろとアドバイスをしていただきましたが、一番印象に残っている言葉は『よく観察しなさい』ということですね。技術面に関しては僕からも積極的に聞きにいっていました。分からない事があったらすぐに質問をさせてもらいましたし、2014年以降は試合中でもよく聞いていました。

 さすがにイシさんが出られているときは聞けませんけど、僕が試合に出ているときは『ちょっとどうですかね? 見ていてもらえませんか?』というような感じで、コミュニケーションを取らせていただいていました。

 もちろんユニホームを着ていないときも思い出はたくさんありますね。食事に連れて行ってもらったときも、ほぼ野球の話題で、チームのことなども話していましたね。特にここ最近に関しては特にその傾向が強かったですね。

 僕からすれば当然若い頃とはイシさんに対するイメージが変わってきて、本当に良い兄貴分的な存在でした。僕自身2018年からは選手会長を2年間務めさせていただきましたけど、その時期もいろいろな相談をさせてもらっていました。何かあったら「これはどうしたら良いですか? こういう事があるんですけど良いですかね?」という感じで、報連相ではないですが、本当に頼りにさせていただいていました。

 あとは護摩行ですよね。4年連続でご一緒させていただきましたけど『自分がどうしても何かをしなくてはいけない。何かを変えたい』と思ったときに、僕の場合は護摩行だと思ったので、イシさんにどういう感じかを聞きながら、新井(貴浩)さんにも相談させてもらってスタートしました。

◆本当にレベルが高かったキャッチング技術

 改めて、イシさんのすごさを言わせてもらうと……全部です。トータルですごいと思っています。中でもキャッチング技術ですね。あれは、本当にすごいの一言ですし、やっぱりレベルが違うと思います。僕自身、マネをしようとして分からなくなったら何度も何度も聞きにいきましたから。

 考えてみれば、兄貴的なイシさんがいてくれたからこそ、今の自分がいるのかなと思っていますし、すごく感謝しています。僕にとってはそういう大きな存在ですね。

 2021年からはプロ野球解説者として活動されるということですが、イシさんから厳しい言葉をかけられないように、チームとしても頑張っていきたいです。

 最後に僕からお伝えしたいのは……本当にありがとうございました! 本当にお世話になりました! ということです。それに尽きます。あと……これからはあまり体を動かす機会もないと思うので、体調には気をつけてほしいです(笑)。