V奪回を目指すカープの2021年春季キャンプが沖縄と宮崎で行われている。ここでは一軍キャンプで奮闘する期待のルーキーを一人ずつ紹介していく。

ここまでは走攻守全ての面でアピールを見せているドラフト6位・矢野雅哉選手。

◆守備はプロの世界でも一級品!?  

 強肩を生かしたショートの守備が魅力のドラフト6位入団の矢野雅哉。名門・亜細亜大で鍛え上げられた守備力を武器に、即戦力候補としてカープに入団した期待のルーキーだ。

「自分の長所は守備。なかでも肩が一番の武器なので、三遊間の深いところからでもアウトにできる守備範囲の広さと肩でアピールしていきたいです。守備で大切にしているのは、どんな形でもアウトを奪うこと。そのために肩とスローイングを安定させることを意識しています」

 基本に忠実なフォームから繰り出される力強い送球は、プロの世界でもトップクラスと高い評価を得ている。その強肩っぷりは大学時代に、ホームベースからの投球がバックスクリーンに直撃したという逸話を残すほどだ。

 カープの新人野手の中では唯一の一軍キャンプ参加となると、大学時代に慣れ親しんだ遊撃手だけでなく、サードの守備も難なくこなしユーティリティ性もしっかりとアピール。一軍定着へのライバルである三好匠、上本崇司などにも十分に渡り合える実力を持っていることを証明しつつある。

 さらにうれしい誤算となったのが、打撃でもアピールを続けている点だ。2月8日に行われたシート打撃では、3打席で2安打1四球と全打席で出塁。盗塁を成功させるなど、自慢の守備に加え打撃でもプロの投手の球に食らいつく姿勢を見せている。

 指名当初からその守備ばかりに注目が集まっていたが、ドラフト直後の本誌インタビューでは打撃に対するこだわりも垣間見られた。

「こだわりたいのは、出塁率です。バントも含めて小技ができる巧打者を目指したいですね。目標にしているのは阪神などで活躍された平野(恵一・二軍打撃コーチ)です。ガッツ溢れるプレーも大好きで、平野さんのようなシャープな打撃を身につけていきたいと思っています」

 上位指名の投手たちに話題が集まる中、着実に首脳陣の評価を高めるドラフト6位内野手。堅実に実績を積み上げ、下克上を成し遂げていく。